遊戯王【銀の月姫】

□第六話「白い決闘」前編
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ある日の放課後。

「……!」

図書室の新刊が置いてある本棚に、こんなタイトルの本があった。

『多重人格〜自分の知らない自分〜』

(……多重人格)

思わず手に取る。
中には、こう記載されていた。

(多重人格は、一つの肉体に複数の人格が宿った訳ではない。独立した人格のように見えても、その人の「部分」である……か)

以外彼は言っていた。

『俺の心の領域を超えた』

『俺は……お前が知ってる“遊戯”じゃない』

俺の心の領域……それは“遊戯”の心を言っているのだろう。
その遊戯の心を、俺の心と言っていた。
あの口振りといい、“彼”も遊戯であると言うことなのだろうか。

(……あの人、何て呼べばいいんだろ)

“彼”は、“遊戯”ではない。

(もう1人の遊戯君……?)

考え事に耽っていた時だった。

「よ!」

「!!」

いきなり話かけられて顔を上げると、日高が悪戯っぽく笑っていた。

「どうしたの?そんな難しい顔して」

「あ、えっと何でもないです!」

パタンと本を閉じて、咲月は笑顔を取り繕った。
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