遊戯王【銀の月姫】
□第六話「白い決闘」前編
1ページ/13ページ
ある日の放課後。
「……!」
図書室の新刊が置いてある本棚に、こんなタイトルの本があった。
『多重人格〜自分の知らない自分〜』
(……多重人格)
思わず手に取る。
中には、こう記載されていた。
(多重人格は、一つの肉体に複数の人格が宿った訳ではない。独立した人格のように見えても、その人の「部分」である……か)
以外彼は言っていた。
『俺の心の領域を超えた』
『俺は……お前が知ってる“遊戯”じゃない』
俺の心の領域……それは“遊戯”の心を言っているのだろう。
その遊戯の心を、俺の心と言っていた。
あの口振りといい、“彼”も遊戯であると言うことなのだろうか。
(……あの人、何て呼べばいいんだろ)
“彼”は、“遊戯”ではない。
(もう1人の遊戯君……?)
考え事に耽っていた時だった。
「よ!」
「!!」
いきなり話かけられて顔を上げると、日高が悪戯っぽく笑っていた。
「どうしたの?そんな難しい顔して」
「あ、えっと何でもないです!」
パタンと本を閉じて、咲月は笑顔を取り繕った。