遊戯王【銀の月姫】
□第十五話「友の幻」
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「遊戯!咲月!次が第三の試練だ!」
強く吹き抜ける風と共に、〈遊戯〉と咲月にシャーディーの言葉が叩き付けられる。
第三の試練……先程までの試練とは、比べものにならない程の難関だとシャーディーは言っていた。
あれらを凌ぐ程の試練とは、一体どんなものだというのか。
「ここまで二つの試練をよくぞ乗り越えた!少女を支えている像も、まだ4体残っている。だが、次のゲームで、それらは砕かれることになるだろう!」
「!」
「……!?」
シャーディーは、残った〈遊戯〉達の亀裂が入った像を一瞥し、彼らに宣言した。
咲月にはまるで検討がつかない話であったが、過酷……いや過酷と一言で片付かない目に遭うのはは見え透いている。
(シャーディー……やけに自信ありげだぜ……まるで俺達の弱点を既に見切ったように……)
その自信に、嫌な予感を感じざるを得ない〈遊戯〉であったが、どんな次に試練が来ようが、像を砕かれる訳にはいかない。
あれらが砕けることは、杏子の死を意味する。
(シャーディーの像が砕ければ、千年錠は杏子ちゃんの手に渡って、杏子ちゃんは目を覚ます……でも、あの人の像を砕くには、どうしたら……!?)
咲月はシャーディーの像を一瞥した。
そもそも、自分達とは違い、シャーディーは像を一つしか用意していないのだ。
(奴の心の弱点……くそ、それが見つからない!!)
弱点が多いならば、最初から像の数を増やしておくべきだろう。
それが無い、ということは
「フフ……私の心の弱点を探ろうとしてもそれは無理な事。私の心の像はは例えるなら決して砕けることのない金剛石……そしてお前たちの心の像は、まるでアラバスタ―石の様に脆く壊れやすい!それを次の試練で思い知ることになる」
「!」
「!!」
眉を顰める二人に不敵な笑みを向けるシャーディーの視線が、ふいに彼らの背後に注がれた。
「遊戯、咲月!第三の試練のお前たちの相手を紹介しよう!!」
「……!?」
シャーディーの号令が上がった直後、ふと足元に冷気のようなものが纏わりついて、咲月は足元を見下ろした。
白煙が、背後からこちらに流れてきている。
(後ろから来てる。……!?)
途端に背後に何者かの気配を感じて、 咲月は振り返る。
その瞬間、彼女の表情は驚愕に彩られた。