テニプリ 久しぶりに再会した幼馴染がホ○に目覚めてたんだけど【一氏ユウジ】

□第二話「過去の確執」
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「小春!」

「ユウ君!」

「小春!」

「ユウ君!」

二人の少年が作り上げる禁断の世界。
そして

「………」

それを唖然として見る少女。
彼女は、久しぶりに再会した幼なじみの変わり果てた姿に、完全に言葉を失っていた。

「? どないしたの榛名」

硬直している榛名に気づいた香奈は首を傾げたが、間髪を置かず梓のツッコミが飛んできた。

「アホ!私らはアレ見慣れてるけど、榛名はちゃうでしょ!一氏君があないになってもたの知らんから、ショック受けてるんや」

「!! そっか!」

漸く榛名の状況を飲み込んだ香奈は、固まったままの榛名の腕を掴んだ。

「ほんなら2人共、私達もう行くわ!ほなね!」

梓も残った榛名の腕を掴み、両腕をそれぞれ掴まれた榛名は無言で2人に回収され、その場を足早に後にする。

「ほなねー……エラい早いわね、あの子達」

「………せやな」

見る見るうちに縮んでいく三人の姿を見て呟いた小春の言葉に、返ってきた返事は思いの外声のトーンが低かった。

「……!」

小春がユウジの方へ視線を向けると、その眼鏡の奥にある瞳が微かに見開かれる。


小春の視線の先に見えるユウジの表情は、つい先程自分と戯れていた時のそれでは最早無かった。


酷く複雑そうで、眉間にシワを寄せながら消えていく三人の姿を見つめている。
基本的に楽観的な彼がこんな表情をするのは、極めて珍しかった。

「……ユウ君?どないしたん、さっきもいきなり立ち止まったりなんかして……」

「………何でもあらへん。それより腹減ったわ。どっか寄ってかへん?」

複雑そうな表情が、一瞬で笑顔に変わる。
はぐらかされた事を悟った小春は、それ以上聞くまいと彼の誘いに乗る。

「……ええよ。何処行く?」





そして2人も歩き出す。
再び雑談をしだす中、小春は内心で首を傾げた。

(三沢さんって……さっきが初対面の筈やのに)


彼女の顔が……見覚えがある気がするのは何故だろう。
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