遊戯王【銀の月姫】
□第十話「心の部屋での対峙」
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その頃現実では
「……?」
遊戯は眼前で目を閉じたまま、立ち尽くしている男の様子に首を傾げた。
「え……どうしたんだろ、この人…まさか立ったまま寝ちゃったのかな?」
「解んない……あの、大丈夫ですか?」
「……」
声をかけても反応がない。
遊戯の言うとおり、意識がないのか、もしくは意図的に無視しているのか、一体どちらなのか。
「……」
咲月は眉根を寄せて、男の「千年錠」を凝視した。
先程男が、この「千年錠」の先端を遊戯に向けた際、カチリと鍵を開けた時に生じる音に似た音が聞こえた。
それだけではない。音が聞こえる直前に、この「千年錠」が一瞬光った様にも見えた。
(……まさか、この人がこうなったのは、これが原因……?)
男がこうなったのは、音がした直ぐ後だ。
世の中には、理屈では説明がつかない事が起きる。
それを身を持って知っているからこそ、その仮説に至った訳だが……これだけの情報でそうだと結論付けるのは決め手に欠ける。仮にそうだとしても、どうしたらいいのかなんて解らない。
それに万が一、病気でこうなっていたらどうする。突然眠ってしまう病気だって存在するのだ。
「……」
だとしたら、放っておく訳にはいかない。
とりあえず、揺すってみればもしかしたら起きるかもしれない。
咲月は男の肩を揺すろうと、手を伸ばした。
その瞬間
「っ!?」
突如として、男の「千年錠」が輝いた。
仰天して手を引っ込める間もなく、グラリと目眩がして咲月は頭を押さえた。