スキだけじゃ足りない

□2話
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目の前に現れて嫌味な顔をしているこいつは結構有名な監督で。


僕じゃなく龍也の方が面識があるんじゃないかな。


こいつが監督した作品にほぼ龍也は主演で出ている。


それをダシに僕は勧誘されているというわけ。


僕が断れば龍也は大事な仕事をなくすことになる。


でも、僕が了承したら自分を犠牲に龍也の仕事をなくさないで済む。


龍也はこんなことで守られたくない人間だ。


だから龍也のことはなしで考えてみると、断れば僕も仕事をなくし、了承すれば実質こいつの愛人になり兼ねないということ。


「林檎…「林檎ちゃーん!!撮影始まるよー!!」

「はーい♪」


助かった。
スタッフから呼ばれなかったら、僕は明らかに言い寄られていただろう。


「林檎ちゃん」

「この件は、前向きに考えさせてもらってます。だから一週間。一週間待ってください」

「いい返事を待ってるよ」


この一週間で龍也に相談をできたら良い話。


でも、それは龍也と何も進展がなければあいつの件を飲むということを意味していた。









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