スキだけじゃ足りない

□6話
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林檎を無理矢理襲ってしまったあの日、俺は一人で悩んでいた。


今思えば全てはこの時に、ちゃんと林檎に全部話してたらこんなことにはならなかったこと。


橘は俺を勧誘していた。
あいつの元々の狙いは俺だったんだ。



俺は勿論断ったが、その時のあいつの言葉は今でも覚えている。


『そう。じゃあどうなっても知らないよ、俺は』


意味有りげなあの言葉。


それがこういう事だったとはな。


「日向くん」

「どうなっても知らねぇってんなら、こっちのセリフだ。お前は警察にでも捕まっとけ」


どうせこのマンションを出たら警察の奴らがいるんだ。


こいつはもう逃げられねぇ。


「立てるか、林檎」

「龍也、どういうこと」

「あとで話すから」


俺は目の前の自分の部屋のドアを開けて林檎を中に入れた。








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