スキだけじゃ足りない
□6話
1ページ/4ページ
林檎を無理矢理襲ってしまったあの日、俺は一人で悩んでいた。
今思えば全てはこの時に、ちゃんと林檎に全部話してたらこんなことにはならなかったこと。
橘は俺を勧誘していた。
あいつの元々の狙いは俺だったんだ。
俺は勿論断ったが、その時のあいつの言葉は今でも覚えている。
『そう。じゃあどうなっても知らないよ、俺は』
意味有りげなあの言葉。
それがこういう事だったとはな。
「日向くん」
「どうなっても知らねぇってんなら、こっちのセリフだ。お前は警察にでも捕まっとけ」
どうせこのマンションを出たら警察の奴らがいるんだ。
こいつはもう逃げられねぇ。
「立てるか、林檎」
「龍也、どういうこと」
「あとで話すから」
俺は目の前の自分の部屋のドアを開けて林檎を中に入れた。
.