Schwarzschild
□変異
1ページ/1ページ
「……マァ」
太陽が登り切ったころ、のろのろと起き上がる 。
グッと一度伸びをしてから外へ出る。
「マァ……!(つめたっ……!)」
小屋の近くに流れている川に近寄って、短い手を川の中に差し込むと、その冷たさに肩が強張る。
「マァ マァジ(今日は何をしようかな)」
この大自然の中に迷い込んで半年。
わかっているのは夜に自室で寝たはずが、朝起きたらこのくたびれた小屋にいたということと、ムウマージの姿になっていたということ。
そして、自分の名前を含めて人間であったときの記憶が所々なくなっているということだけだった。
.