Schwarzschild
□伊達軍
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畑から見えたお城に近づくと、片倉さんが屋根に下ろして欲しいと伝えてきたのでこっそりと上からお城に近づいた。
なるべく低めの屋根の上に片倉さんを下ろしたところで下の方から声が聞こえた。
《筆頭ー!たた、大変です、筆頭!》
《どーした?豊臣のスパイ野郎でも見つかったのか?》
《て、敵襲っす。
南部、津軽、相馬が三方から一時に!》
《あぁ…?shit!もうきやがったのか。
小十郎にも知らせはやったな?》
《はい!
片倉様には今文四郎が》
「ちぃっ!」
「マッ!?(えっ!?)」
片倉さんは屋根から部屋の中に入ると足早に廊下へ出て行ってしまった。
焦ったようなその姿にまだ全快ではないはずの彼を思わず追ってしまった。
「政宗様!」
「小十郎!?」
「片倉様!?ここにいたんすか!」
「おい!文四郎を呼び戻せ!」
先ほどから話し込んでいた彼らの元へ駆けて行く片倉さん。
その先には政宗と呼ばれた片目を眼帯で覆っている切れ長の目の男がいた。
「政宗様、まずは軍議を開きましょう」
「あぁ…OK.
ところで小十郎、お前の後ろにいるのはなんだ?」
「は?
……お前っなんでここに」
「マ?(え?あ、つい…)」
いや、でもさっきの怪我のこともあるし……。
「マァ?マァージ?(どこ行くの?さっきの傷は手当てしないの?)」
片倉さんの周りをウロチョロと飛び回る。
そんなあたしに片倉さんは困惑しつつ、眼帯さんに向き直って話し出す。
「…先ほど、竹中半兵衛が接触してきたとき、窮地に陥ったところを…こいつの助力があって抜け出せました」
「竹中が…!?」
「は、その際間者も露見いたしました。それよりも政宗様……」
眼帯さんと片倉さんが襲撃について真剣に話し合いを始めてしまったため、邪魔をするわけにもいかず、近くにいた鎧さんたちの近くをぐるぐると回って観察してみる。
「…な、なんだよ」
「こいつ、妖なのかな」
「マァマァジ(妖じゃないよ、ポケモンだよ)」
鎧さんたちを観察するのと同じように彼らもあたしを目で追って観察しているようだ。
「なんか、かわいいな」
「え……」
「マッ(ムウマージ可愛いよねぇ)」
あたしはゲームのシリーズが出る毎に手持ちに入れてたよ。
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