Schwarzschild

□伊達軍
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「Hey」

「マ?(何?)」

一人でうんうん頷いていると後ろから眼帯さんが話しかけてきた。

「小十郎を助けてくれた礼がまだだったな。Thanks」

「マァジ(どういたしまして)」

少し照れくさくなってぴょんと飛び跳ねてから眼帯さんの周りを泳ぐように飛ぶ。

「俺たちはこれから戦に出る。ここも危なくなるかもしれねぇ…。お前は自分の巣に帰りな」

「マッ?!マァージ!?(戦?!片倉さん怪我してんのに!?)」

片倉さん怪我のこと隠してるのかな?

それとも、怪我を押しても戦に出なきゃ行けないのかな?

………。

「マァージ!(サイコキネシス!)」

本日三度目のサイコキネシスで片倉さんが怪我をしているであろう部分の服…着物を持ち上げる。

「っ!?」

「おい?!……!
っ小十郎、お前怪我してるじゃねぇか!」

眼帯さんが怪我を見て目を見開いた。

どうやら怪我のことは聞かされていなかったようだ。

「このくらいなんともございません。今は早急に戦の準備に取り掛からなければ」

「Shut up!俺の背中をあずけられるのはお前だけだ。さっさと手当をしてこい」

「……はっ、失礼します」

それは結局、片倉さんは戦に出るということなのだろう。

手当をするといっても先程の彼を見たのでは放っておけない。

「……マァジ(……あたしも行く)」

「あ?なんだお前、っておい、どこに…!」

あたしは眼帯さんの静止も振り切って片倉さんの後を追ってお城の中へ入って行く。

ここへ来て、彼らと意思の疎通ができればいいのに、と歯がゆくなる。



その後、結局片倉さんは戦には出なかった。

というよりも、軍議?で眼帯さんや厳つい男の人たちと話し合って眼帯さんがそれに沿って指示を出していた。

話の内容はあまりわからなかったけど、多分必要最低限の兵と大将を作り、それぞれの軍に充てたらしい。

そして片倉さんは今回、戦に出ないようだ。

なんでも、いつでも動けるよう待機する、ということらしい。

眼帯さんは戦に出るつもりでいたみたいだけど、片倉さんに説得されて撃沈。

あとは出兵した人たちの戦況報告待ちだ。

ちなみにあたしは片倉さんの真後ろに引っ付いている。

「……なぁ、小十郎」

「…なんだ」

今、片倉さんに話しかけたのは眼帯さんに少し似てる青年。

誰だろ。

「それ、なに?」

「………」

あたしのことだろうか…あたしのことだよね。

こっち見てるし、指こっち向いてるし。


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