『蒼空の瞳』 完結
□6.Festival
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文化祭当日―――――
RPG・アラジンと魔法のランプは盛大に繁盛していた。
長蛇の列ができ、全員が苦戦している模様。
特力は、大成功を収めていた。
そんなRPGに、棗は半分無理やりに連れてこられていた。
ルカのうさ耳をいらいながらも、頭の中ではずっとアリスのことを考えていた。
何故ここまで考えるのかはわからないが、気になってしかたないのだ。
「あれ?棗?棗も来てくれたん?」
ひょいっとセットを乗り越ええやってくる蜜柑に、棗は一瞬息をのんだ。
蜜柑の茶髪が光の加減で金に見えたのだ。
ふわっと舞い降りる蜜柑に、周りは感嘆の溜息をついた。
"舞い降りた天使みたいだ"と呟いたのはいったい誰だったか。
「棗もやっていく?よかったらみんなで楽しんでや!」
周りの視線などお構いなしで笑う蜜柑に、棗はフンっと横を向いた。
「じゃあ、楽しんでってな!」
翼に呼ばれて、蜜柑はセットの中に消えた。
一瞬あちこちで残念そうな空気が流れる。
「佐倉って……なんか太陽みたいな存在だね」
ポツリとつぶやかれたルカの言葉は、棗の耳にずっと残っていた………。
* *
翌日、なぜか蜜柑はルカと棗と一緒に行動していた。
「次、どこ行くん?」
マップを広げてルカぴょんに聞いてみたが、答えが返ってこない。
「ルカぴょん?」
「え!?あ……その……」
顔を真っ赤にしてどもるルカぴょんを、蜜柑は不思議そうに見ている。
「おい、ここって今井の店じゃないのか?」
さすがにルカが不憫に思えたのか、棗が割って入った。
気付けば、技術系エリアに来ていたようだ。
「蛍?……いや、ヤメトコ……ナンカ、スゴイコトニナッテルシ……」
蛍の店の周りには人、人、人……
ちょっと近づきたくない。
蜜柑はそういうと、何も見なかったようにその場を離れた。
―――ええ、何も見てません。
蛍の瞳が$に輝いてたなんて―――
その日は、蛍に会えなかった。
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