『蒼空の瞳』 完結
□14.Employment
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「ふぅー……」
アリスは一人廃墟の中に立っていた。
周りには不自然なほど何もない。
「……ああ、今日は満月でしたね……」
廃墟の窓から覗く月に、アリスは目を細めた。
あの日も満月だった。
蒼く染まった月。まるで自然を浄化させるそんな………蒼月。
「……さて、次行きましょうか。急がないと夜が終わってしまいますね」
明日も蜜柑として学校に通わなければいけない。
一日ぐらい寝なくても平気だが、彼にバレると色々厄介だ。
それに、大丈夫と言ってもそれが続けば寝不足になる。
そうなれば一瞬の判断が油断となり、相手に隙を与えることとなる。
それでなくてもペルソナの忠告通り、蜜柑への監視の視線が増えてきているのだ。
体調は万全にしておかなければいけない。
「あと……もう少しです。景……」
――約束は必ず守ります。
蜜柑はもう一度だけ月を見上げると、その場から消えた。
それと同時に、静かに佇んでいた廃墟も姿を消した。
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