『蒼空の瞳』 完結

□17.Alice
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アリスの話は非現実的な話だった。

けれど、なぜか納得できる話でもあった。

そんな初校長の企みを阻止するため、そして未来ある子供たちを守るためにアリスは学園にやってきたという。


普段から何かと危険な仕事を押し付けてくる初校長と、突然現れた謎だらけだけど何かと守ってくれる少女。

危力のメンバーがどちらを信じて、どちらにつくかなんて考えるまでもないこと。



「協力してくださいますか?」

「もちろん!」

「あら、当たり前じゃない!私たちの任務も代わりにしてくれてたのに……」

「当たり前だろう」



あとは……



全員の視線がペルソナに向く。

これは賭けだ。

ペルソナが初校長につくか、裏切るか。



「初校長はあなたのその力をも利用しようと考えてます。それを踏まえて……今ここで決断してください」



アリスの瞳に呑み込まれそうになる。

ペルソナはそんなことを思っていた。

初校長が何かを企んでいることは知っていた。

それでも、自分にも生きる価値があるのだと教えてくれたのは初校長だ。

そんな恩人を裏切る……



「本当に?」

「何?」

「本当に初校長でしたか?あなたに生きる希望を与えたのは……」



アリスの言葉に、ペルソナは息を呑んだ。

ずっと気づかないフリをしていたこと。

何度も疑問に思ったことが一つだけあった。

それは今アリスが言ったこと。


――本当に自分を闇から一度は救い上げてくれた人は初校長だったのだろうか。



「思い出したいですか?」

「思い出したい」

「では……」




アリスは全員に少し下がらせると、ペルソナの正面に立った。

右手を上げ、ペルソナの前に翳す。




「水よ、我が前に力と姿を現せ」




タ……プン……ッ



アリスとペルソナを取り巻くように水泡が現れる。

それと同時に、アリスの髪が舞い、黒から金へと変化した。




「我、願い叶えん。今、力を示せ!」




アリスの言葉と同時に、周りに浮いていた水泡の一部がアリスの右手に集まり水鏡を作り出した。

それはアリスが手を離してもなおペルソナの顔の前で浮いたまま、揺らめき、何かを映し出した。

そして周りに浮かぶ水泡にもそれぞれ何かの映像を見せる。

時期は定まらず、子供の頃、青年の頃と色々な映像が水鏡に映る。




「ペルソナ、あなたが見たい記憶を願い……それを手に取ってください」




アリスに促されるままに、ペルソナは水鏡を手にした。

そして………











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