『The rainbow of seven colors』 完結

□16.疲労
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《ごめんなさい……ごめんなさい……》

"優……ちゃ……!"

《私のせいで……ごめんなさい……》

"ゆ……きちゃ……っ!優希ちゃん!!"





『……先、生……?』

「気が付いた!?」

『あ……私……』

「ずいぶん魘されてたけど、……大丈夫?今の状況、わかる?」

『……私……どれくらい寝てたの?』

「時間的に4時間弱。とりあえず、薬は打っておいたけど……気分はどう?」


確かに、朝よりはずいぶん体が楽だ。

……気分的には朝より重いが。


「おそらく体は限界だったんだろうね。……ここ最近、まともに寝てないね?」

『……寝られなくて……』


正直に答えた優希に、先生は少し悲しそうな顔をすると、そっと頭をなでてくれた。


「せめて3時間は眠れるように薬を渡しておくから、必ず寝る前に飲むように、いいね?」


―――コクン


素直に頷いた優希に、先生は詰めていた息を吐き出した。

まだ顔色はいいとは言えない状態だが、少し心に余裕ができたみたいだ。

ずっと一人で我慢していたのだろう。

一気に溢れ出してしまうほどに……。


「優希ちゃん、やっぱりもう一人潜入させた方が……」

『大丈夫……。それに、何人入ってきても、結果は変わらないだろうから……』


……優希の考えと先生の言いたいことは若干ズレがあるようだ。

先生はそれに対して(何を言っても仕方ないと分かっているからこそ)何も言わず、そっと頭をなでた。


もともとすべてを一人で抱え込もうとして、周りには一切悟られることなく自分の中で終わらせてしまう子だ。

彼女が本気で隠してしまったら、たとえどんなに近くにいて変化が分かる弥一や先生でも気づくのは難しい。


「わかった。今回はこれで終わらせておくけど、次はないからね?
 ……それからすべて一人で抱え込まないで、周りに頼ることを覚えなさいね。
 使えるものは何でも使うがモットーなんだから」

ね?


念を押すように笑った先生に、優希は苦笑しながら頷いた。


『わかってる』

「……本当にわかってるのやら……」


呆れ半分、心配と絶対にわかっていないという気持ちが半分。

先生はあきらめにも似たため息をつくと、もう少しだけ優希を看病するためにお粥を作りに部屋を出た。






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