『伸ばされる手』 完結

□3.Confusion
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思わずイーストシティに来てしまったアルは、これからどうしようかと街を練り歩いた。

直接司令部に乗り込むのも気が引けるし、何より自分は一般人だ。

兄と一緒の時はともかく、入れてもらえるかどうか……。

まぁ、マスタング組と呼ばれる彼らがいたら普通に入れてくれるだろうけど(笑)











どうすることもできず、司令部の周りをうろちょろしていたら、会いたかった人を見つけた。

近くには中尉もいる。





「たい……「鋼のから告白されたんだよ」……え?」





大佐の言葉に声をかけようとしたアルは動きを止めた。

大佐の言う鋼のは自分の兄だ。



あの兄が告白……?



「(だからずっと思いつめていたんだ……)」



イーストシティから離れる前、エドワードはずっと悩んでるようだった。




「(大佐を好きになってしまったことに、ずっと悩んでたんだ……)」




きっかけは恐らく国家錬金術師になって1年後のあの言葉だろう。




















「……それで、どうしたんですか?」

「もちろん、フったさ。だって、そうだろ?」



――私は子供に興味はないし、鋼のは男だ。

  同性愛なんて……気持ち悪い。




















その後の会話は知らない。

アルは無我夢中に走った。

兄が苦しんでる理由が分かった。

兄の自己犠牲がひどくなった理由が分かった。




――自分を傷つけることでしか、兄は自分を保てないのだろう。




大佐の言葉はそれほど兄を追い詰めているのだ。

同時に、この人たちは何も知らないのだと知った。

もしかしたら……と思ってたのだが、やっぱり大人は大人のようだ。





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