『伸ばされる手』 完結
□6.Deny
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「姉はずいぶん悩んだんだと思います」
エレンさんを裏切るようなことはしたくない。
けれど、想いを消すことも出来なかった。
「自分の気持ちを否定できない。
ならせめて気持ちだけは伝えようと思ったんだと思います」
応えてもらえるとは思ってなかっただろう。
周りも男だと思ってるし、相手は女好きだ。
ただ、自分の気持ちに終止符を打つために……
「けれど、フられるだけでなく、その気持ちすら否定されてしまった」
気持ち悪いと言った。
そんな気持ちは異常なのだと。
そして………なかったことにされた。
「男だからそう言われてると分かっていても、姉にとって想いを否定されることはエレンさんに拒絶されるのと同じなんでしょうね」
大佐をエレンさんと重ねてしまったのだ。
エレンさんは女だと知っていた。
けれどこれが大佐と同じ位置にいれば………?
大好きな人に否定されて、傷つかないわけがない。
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