『伸ばされる手』 完結
□8.Vavation
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約束通り、ハボックは3日間の休暇をもぎ取ると、エドとアルを連れて川のある里に連れて行った。
人の出入りが激しい処よりも、こうやってゆっくりできる処がいいと思ったのだ。
「うわあぁぁ〜自然がいっぱいだね!」
「すごい……」
2人は森を見て、空を見て、感嘆の溜息を洩らした。
どこもかしこも、都会化が進んでこういった自然の街や村は減った。
「リゼンブール並みだね!」
リゼンブールの森を思い出しながらはしゃぐアルに、エドワードは懐かしそうに森を眺めていた。
エドにとって、森はいろんな思い出がある場所だ。
楽しい記憶から悲しい記憶まで………
「んじゃ、川行こうぜ!川!」
ハボックは喜ぶ2人にニヤッと笑って促した。
「上流の方に行けば、池みたいな湖つーか泉?があるらしいぜ」
「湖も池も」泉も……ほとんど同じ気がするけど……」
わざわざ言い直すハボックに、エドは苦笑しながら突っ込んだ。
広さや深さが違うだけで、対して変わらないと思う。
まぁ、正直、泉が一番いいけど(笑)
* *
「「うわあああ…………」」
ハボックの言う上流に来た2人は、思わず目の前に広がる光景に息を呑んだ。
――自然に囲まれた空間。
アルフォンスもだが、エドワードは特にそういう空間が好きだった。
そういう空間には人はめったにいないから、自由になれる。
……それは男のふりをするエドワードにとって、解放される場所なのだ。
自分をだしても誰にも見られない。
……まぁ、その油断がエレンとの出会いだったのだが。
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