鋼の短編

□花火
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3か月ぶりにイーストシティに来たエドワードとアルフォンスは、あまりの人の多さに、このまま次の街に行こうかと本気で考えていた。













「チース」

「もう!兄さん、みんなにちゃんと挨拶してよ!!」



相変わらずの兄弟に、東方司令部の面々は苦笑しながらその2人を快く迎える。



「久しぶりだな、大将。今回はどこまで言ってたんだ?」

「西部。結局ハズレだったけどな」

「遠くまで行ってたのね。ドーナツあるけど、食べる?」

「やったー!じゃあ、先に報告書出してくる!」



中尉の言葉に、エドは喜ぶとトランクから報告書の束を出して後見人がいるであろう執務室に向かった。




――バンッ




「よっ!ちゃんと仕事しってか?」

「……鋼の、何度ノックをしなさいと言えばわかるのかね?」

「え〜、別にいいじゃん」


入った途端のお小言に、エドワードは聞く耳を持たず、手に持っていた報告書をズイっと差し出した。


「君は仕事を増やしに来たのかね?」

「増やしたわけじゃなく、本来あんたがやらなきゃいけない仕事を持ってきただけだ」

「……君がちゃんと1か月に1度持ってきてくれれば、こんなにたくさんの報告書を見る必要はなくなるのだが……」

「たった3ヶ月分じゃん。あんたがためてる書類より、可愛いものだろ?」


ああいえばこう言う。

相変わらずの様子に、ロイは顔には出さずに笑った。


「そういや、今日なんかあるのか?結構な人いたけど」

「ああ、今日は夏祭りだからね」

「夏祭り?」

「……そうか、去年は君たちはこの時期には帰ってこなかったな」

「おう」

「セントラルの夏祭りの次に大きい祭りだよ。夜には花火が上がる」

「へぇ」


花火という言葉に、エドワードは目を輝かせた。

リゼンブールでも花火は上がっていた。

セントラルやほかの祭りよりも断然数は少ないが、それでもきれいだったことは覚えている。


「まぁ、気が向いたら行ってみなさい。少しは気を抜くことも大切だよ」

「……そうだな。アルに勧めてみるか」


自分が行こうと思わないあたり、ロイの気遣いはこの子供に届いてないことが分かる。


「(全く、弟第一も、ここまでくると厄介だな)」


これじゃあ、いつかこの金色の子供が参ってしまう。

そう思うが、下手に強制させれば反抗してきっと全く逆のことをしようとするだろう。


手のかかる子供だと思いながらも、ロイは楽しそうに笑っていた。




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