鋼の短編

□となり
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――もし俺に何かあったら、アルのこと、よろしくな――





金色の子供が電話でそう伝えてきた。

それが1年前。






























「エドワード、久しぶりだな」



悲願を達成した直後、エドワードは悲願と引き換えに命を落とした。

予感はしていた。あんな電話があったから。

だから……自分の足で悲願を達成したことを報告しに来いと言ったのに……



「今日は報告だ。……私の子供ができたらしい。……女の子だそうだ」



エドワードが消えてから、私は抜け殻状態だった。

目の前で遺体を見たにもかかわらず、また突然扉を破る勢いでやってくるのではないかと……

そう期待していた。



「あなた……」



そんな私を支えてくれたのは当時中尉だったリザ・ホークアイだった。

そして半年前に彼女と結婚した。



「君は祝福してくれるかな……?」



大切だった。……好きだった。

唯一ほしいと思った。

もっと早くに伝えていればよかったと、何度後悔しただろう。




――ああ、私も君を恋人にしたかった。




どうしてとなりにいるのが君じゃないんだろうな?

リザには失礼かもしれないが、時々思うときがある。

けれどリザはそれを知って受け入れてくれた。

甘えてるとは思うが、エドワードを思う気持ちは決して消えることはないだろう。



「エドワード……私も愛していたよ。……また来る」



少し離れた場所では彼女とは別の愛おしい人が待っている。













――ふわっ


――ロイ……



エドワードは空から見ていた。

寂しい。苦しい。悲しい。


好きな人の傍にはすでに自分以外の人がいる。


願ったこととはいえ、やっぱり二人が並ぶ姿を見るのはつらい。

できるなら……彼女がいる場所に、自分がいたかった。



――ロイ……



一筋の涙がほほを伝う。



――ありがとう。……リザさん、ロイをよろしくね?



きっと二人には届かない声。

けれど、それでも良かった。



――ずっと見守ってるよ。……お幸せに。





エドワードはそのまま風になって二人を祝福するように包み込んだ。












「……今、エドワード君に祝福された気がします」

「ああ、そうだな……」























――ありがとう……大好きだよ……二人とも……
























End


ちょっと『悲願』より拙い文章になってしまいました……。

『悲願』に比べると、感動も何もあったもんじゃないかもですね……

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