鋼の短編

□節分
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―――鬼は外。福は内。




子どもの頃、鬼の面をした大人たちを悪い奴だと勘違いしてよく弟と本気で豆を投げつけてた。

何気ない日常の中で、ふとそんな思い出を思い出した。

……思い出した以上、やるしかないだろう!





「豆まき?」

「大将、急にどうしたんだ?」



帰ってきた早々、そんなことを言い出した金色の子どもに、マスタング組と呼ばれる面々は首を傾げた。

別に豆まきを知らないわけじゃない。

ただ、金色の子供から豆まきなんて言葉が出たことに驚いたのだ。



「いや、ちょっと思い出してな。せっかくだから東方司令部でもやらないかな〜とか思って」



無邪気に言うが、忘れるなかれ。

金色を溺愛しているお祭り好きの人間が聞けば、内々でやるような節分も、盛大なお祭り騒ぎになることだろう。

……まぁ、それももう遅いが。



「やぁ、鋼の錬金術師君。ずいぶん面白い話をしているようだね」

「げっ、キングのおっさん!」

「せっかくだ。軍を上げて盛大に豆まきをしようじゃないか!勝ったチームには特別休暇を与えよう!」




ちょっと待て。


誰もそんな盛大にしろなんて言ってないぞ。


しかし可哀想かな。

金色――エドの突込みはすでに自分の世界に入ってしまったキングの耳には届かない。









そして翌日―――




『えー、それではこれから豆まきを始めたいと思いまーす。ちなみに優勝チームには特別休暇が与えられまーす』


司会進行はおなじみ軍事会議のマース・ヒューズでーす。



……ああ、ここにもいたな、お祭り大好き人間。


当たり前のように司会を務めるヒューズ中佐に、ロイたちは呆れたように溜息をついた。

毎度のことながら、よくやる……。





さて、なんだかんだと言いながら始まった豆まきだが、思った以上の白熱さを見せつけていた。


メンドクサイだの文句を言いながらも、みんな特別休暇がほしいのだろう。

そういうエドワードも久しぶりに無邪気に豆を投げていた。

今日ばかりは"マメ"の言葉にも寛容でいようと思う。


……たとえそれが自分に向けられていた言葉だとしても……






鬼は外。福は内。


どうか俺たちの元にも福が来ますように……






End?



〔あとがき〕

すみません。結局何が書きたかったのか分からなくなってしまいました。


鬼は外、福は内。


どうか皆さんの元にも福が訪れますように……





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