鋼の短編
□ホワイトデー
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3月14日――――
バレンタインと対になる日。
「ねぇ、東方司令部に行かなくていいの?」
「行きたくない。怖いからヤダ」
「でも待ってるんじゃないの?」
「一生待たせとけばいいんだ!ヤダ!怖いからヤダもん!!」
3月入ってからずっと続けられている会話。
司令部に行こうというアルと、行きたくないと駄々をこねるエド。
それもこれも、あの無能……ではなくマスタング大佐のせいなのだ。
「でも、ホワイトデーに返事するって言ったんでしょ?」
「言ってないもん。大佐が勝手に言ってるだけだもん」
本気で恐怖を感じるぐらいにアプローチしてきたバレンタインの日。
泣いてしまったエドワードに、ホワイトデーまで返事を待つといった大佐。
そして今日がその日だったりする。
「ほら、行くよ」
「ヤダってばー」
アルに引きずられるようにして司令部に向かうエド。
* *
「こんにちは!」
「……ども……」
「アル!大将!」
「お久しぶりです、少尉」
「オヒサシブリです……」
「あら、エドワード君。大佐なら執務室にいるわよ?」
「うっ……」
にっこり笑ってホークアイにいわれると、エドワードは盛大に顔をひきつらせた。
「……行ってきます……」
「「「「いってらっしゃーい」」」」
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