『The rainbow of seven colors』 完結

□10.調査
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 『否、まだ何も情報はねぇーよ……』


その日、新一は屋上で電話していた。

今回は誰もいないことを確認して、屋上の鍵も閉めている。


“そうか、……こちらは、少し情報が入った”

『マジかっ!?』

“ああ……。あとで、パソコンに転送しておく”

『……また、闇ルート?赤井さんのルートって、どうなってんだよ』

“情報は多いに越したことはないだろう?”

『まぁな、で?俺は何をすればいい?』

“とりあえず、情報を確認してくれ。もしそれで手がかりが入れば、儲けものだろう”

『たしかに……。ってことは、その情報は確実じゃねぇーってことか?』

“証拠がない”

『なるほど、な。だからこちらで真実か調べればいいんだな?』

“できるか?”

『フッ、誰に言ってる?』

“そうだな。敵すら丸め込むのはお前の十八番だったな”

『丸め込むって……人聞きの悪い。別に丸め込んでるわけじゃねーよ。
 ちゃんと正論で諭してるだけだ』

“………丸め込んでるだろ?”

『赤井さん、ヒドイ』

“フッ、また情報が入ったら連絡する”

『了解、赤井さんたちも気をつけてね』

“あぁ、お前もな”


──ピッ


『フゥ〜』

新一は深くため息を吐いた。

正直、気が滅入る。

ここ最近感じる視線。


もちろん、“誰か”、は分かっている。


分かっていても、辛い。

まるで探るような、観察するような視線……。

それは新一を精神的に参らせるには十分だった。


『やっぱり、二代目だよなぁ〜。油断はできないか……』


新一は辛そうに顔を歪めた。

出来るなら、早く問題を解決して、この学校から出たい。

それが“逃げ”だと分かっていても、今の新一にはそれを拒絶できるだけの心はなかった。


『やっぱり……相手は知らなくても、辛いな……』


“罪”が背中に重くのしかかる。


二代目に直接合うまでは、堪えられた。


『………弱音は言ってられねぇー。俺のことよりも、“目的”の方を達成させることが先決だ』


新一はパンッと頬を叩くと、いつかのように屋上を後にした。





11.口論
 

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