『The rainbow of seven colors』 完結

□19.捜査
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「おはよ、新一」

『……はよ。学校では、工藤にしとけよ、黒羽。周りが変に思うだろ』


呆れたように言う新一に、快斗はムッとすると、プイッとそっぽを向いてしまった。


『あぁ、分かった……。快斗。ハァ、これでいいだろ?』



――ニッ



「うんっ!」


嬉しそうに笑う快斗に、新一は何とも言えない不安を感じた。


『(……こいつに協力を頼んだのは間違いだったか……?)』



















休み時間になると、新一はいつも通り教室から消えた。

快斗は、それを見届けると、近づいてくる白馬に"噂"について尋ねた。―――今回は、真剣に。



「噂……ですか?」

「何何!?」


青子や紅子も近づいてくる。


「光の魔人に捕まってしまいましたのね」

「知るかよ。……それより、"噂"のこと、何か知らねぇーか?」

「噂って……"薬"の?」

「ああ」


青子と紅子は顔を見合わせた。


「?どーかしたのか?」

「それって、今3年ではすごい噂になってるらしいよ?」

「3年?」

「なんでも、"薬"で人が死んだとか……」

「……死んだ?」


訝しげに尋ねる快斗に、青子は頷くと詳しく話し始めた。


「青子もよく知らないんだけど、頭がよくなったり、強くなったりするんだって。
 でもそれは選ばれた人だけで、駄目だった人は、肉が溶けたり、錯乱したりしてるって……」

「被害者が出てんのか!?」

「ううん」


身体を乗り出して聞いた快斗に、非情にも青子は首を横に振った。


「噂だってば。でも、誰か一人退学したらしいけどね。……その人の行方は、誰も知らないんだって。もちろん、退学の理由もね」

「行方不明……?」

「さぁ?誰も知らないだけかもよ?


 ……でもどうして?」


「いや……」

「どっかの誰かさんに、感化されたのかしらね?」

「うっせー」


快斗は軽口を叩きながら、頭をフル回転させた。

もし、その行方不明者が"薬"の被害者なら……


「(2年まで広がれば……。やっぱり、デマじゃなかったんだ……。早く見つけねぇーと……)」


でも、犯人は何のために……?


「(やっぱり……)金か……?」

「お金がどーしたの、快斗?」



―――ズイッ



いきなり顔を覗き込まれて、快斗は声を上げると青子の頭を叩いた。




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