『蒼空の瞳』 完結
□9.Escape
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―――バッ
パキッという音がして振り返れば、日向棗がボケェーっとした顔で立っていた。
「………」
「………」
よりにもよって"コイツ"とは……
何ともいえない空気が流れる。
恐らくペルソナとの話も聞いていただろう。
―――見たことも、いるかも分からない神様。
あなたは本当に意地悪ですね………
思わず信じてもいない神とやらに話しかける。
現実逃避してる場合じゃないのは分かっているが……
「みか……ん……?」
―――ピクッ
呆然としたまま呟かれた言葉に、思わず肩が上がった。
「どういうことだ?アリスが蜜柑なのか……?」
「棗……」
なんて返せばいいのか分からない。
いや、分かっているのだけど……。
―――逃げようか?
思わずそんな声が聞こえてきた。
「逃げるなよ?」
……なんてタイムリーな……
先手を打たれてしまった。
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