名探偵コナン中編

□心の傷(前篇)
2ページ/9ページ



「せやけどなぁ〜、こうも毎日のように事件あると、疲れるっちゅうねん。なぁ?くどー?」

「そうだな。……で、なんでこのメンバーなんだ?しかも、灰原まで」



新一は不思議そうな顔で、全員の顔を見た。

どう考えてもおかしい。

特に、灰原なんて、隣に住んでるのだから、家に泊まる必要はないはずだ。



「あら、聴いてないの?あなたのお母さんが誘ってきたのよ?」

「(……何してんだよ!母さん!!)」


新一はその答えに項垂れた。

自分の母親ながら、何を考えてるのか理解できない。



ていうか、あの人は理解しているのだろうか。



………この状況に。






「俺はちょうどよかったぜ?母親は今旅行中だからな」

「今度はどこやって?」

「うーん、北海道?なんでも、オルゴールがほしい!とか言ってたから………」



「……もういい」


新一は考えることをやめた。

何を言ったところで、あの人たちが決めたことに、口を出してよかった試しがない。





………とはいうものの、この状況はよろしくない。


絶対に、訳の分からないことを言い出すやつが出てくるはず………。



「ねぇーねぇー!俺、新一と寝たい!!」



………ほらいた。



「断る。一人で寝ろ。……てか、服部がいるだろっ!」


新一は即答すると、お風呂を沸かすために席を立った。


これからのことを考えなければいけない。


しかも、相手は一筋縄ではいかない連中ばかりだ。


「どうすればいいんだよ………」


泣きたくなった。泣いたところで、どうにかなるわけじゃないが、泣きたい。




―――ピーンポーン……


「あ、蘭か」

新一はお湯を入れると、玄関に向かった。


「おじゃましまーす」

「よう!ねぇちゃんも呼ばれたんか?」

「お父さんが、今日は家にいないからって……。新一のお母さんがなんで知ってるのか不思議だけど……」

「あの人が不思議なのはいつものことだろ」



呆れた顔で疲れたように言う新一に、周りは苦笑するしかない。


………まぁ、自分たちもなんで呼ばれたのか分からないけど。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ