名探偵コナン中編
□心の傷(後日談)
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「いつもすまないね、工藤君」
「目暮警部……お疲れ様です」
「今回の事件なんだが………」
高木の運転する車に乗せられて事件現場に来た新一はすぐに目暮と合流し、推理を始めた。
「あれ?新一?」
「ん?蘭……帰りか?」
「ええ、そういう新一は相変わらず事件なのね」
「うるせー」
もう少しで解決というところで、偶然通りかかった蘭が新一を見つけた。
あの中で唯一新一の性別を知ることがなかった者。
新一を男だと疑っていない者だ。
「くどー!!」
「新一!!」
「あら、服部君に黒羽君……って、新一……大丈夫?」
にこやかに笑顔を向けた蘭だったが、すぐその顔は引き攣り、気の毒そうに新一を見た。
ふたりに伸し掛かられて潰れかけている新一を……
「おめぇーら……重てーんだよ!!」
「だってさ、服部君邪魔だよ」
「黒羽がのければええやん!」
「ふたりとも退けろって!!」
悲しいかな男二人相手に、新一が勝てるわけもなく、二人を押しのけることができない。
「新一、事件の途中じゃなかったの?」
「ああ、そうだった……」
蘭の言葉に、新一は警部のところに行くから退けろというと、ようやく二人は新一の上から退けた。
新一はそのまま目暮の元に戻り、なんだかんだとしながらも事件の謎を解いていたのでそのまま犯人を目暮達に告げる。
「むー、新一から事件や推理を取ったら何もなくなるけど……」
「やっぱり無茶はせんといてほしいよな……」
「犯人が逆上して新一に向かって行かないとも限らないし」
「顔に傷でも作ったら大変やで」
「「やっぱり女の子なのに(やのに)……」」
「……………え?」
女の子……?
「どういうこと?新一が女の子ってっ!!」
「「あ……」」
うっかりさん。
蘭の存在をすっかり忘れていた二人は小声で話していたが、すぐそばにいた蘭にはしっかり聞こえていたのだ。
どういうことかと詰め寄ってくる蘭に、二人はあれこれごまかそうとするが、騙されてはくれない。
そして事件が解決して、事情聴取も終わらせた新一にも蘭がこの二人の所為で自分の性別を知ってしまったのだということを知った。
「快斗、服部」
「「す、すみません!!」」
「新一!どういうことっ!?」
「はぁ……とりあえず、帰ろうぜ?蘭も、ここでは話せねぇーからさ」
こんな、刑事がたくさんいるような場所で……
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