鋼の短編
□Kid's Day
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「では、どうしたのかね?鋼のらしくないぞ」
「わりぃー。ただどう反応したらいいのか、わからなかったんだ」
まさか、子供の日っつーか、端午の節句を祝われるとは思わなかったから………
苦笑しながらいうエドワードに、アルフォンスは兄を呼ぶしかできなかった。
ただ、言いにくそうにしていたことに気づいたのはエドだけだった。
あやすようにポンポンとアルフォンスの鎧をたたく。
「マジで病気とかじゃないから、安心しろって」
困ったような笑みを浮かべるエドワードに、ロイたちは、それ以上何も言えなかった。
何もないならいい。
納得していない様子だが、そこで話は打ち切られた。
* *
「危なかったね、兄さん」
「……」
「兄さん?」
「え?あ、うん……」
「大丈夫?」
「おう。ただ……この年でまだ端午の節句を祝われるとは思わなかったな……」
「兄さん」
「分かってる。分かってるけど……」
やっぱり、複雑だなぁ〜って。
エドワードはそういって笑った。
その複雑そうな顔に、アルフォンス俯いてしまう。
「アルが気にすることじゃねぇーよ。ただなあ〜」
「?」
―――俺、結婚できねぇーんじゃねぇ?
「えっと……」
「もう3年もほったらしだし……」
――てか、俺燃やしちゃったし?
あの日、家を燃やした時に、家の中にあったあれも、一緒に燃えて今は灰だけだろう。
放っておけば、血の涙を流す、結婚できないと言われるが、燃やしてしまった場合、どうなるんだろうな……。
エドワードは空を泳ぐ鯉を見ながら思った。
罪を犯した自分が幸せになっていいのか分からないが、やっぱり気になる。
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