鋼の短編
□涙
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"……てことがあったんです。それで、兄さん、ずっと眠れずにいて、どんなに寝てほしいっていっても、無理で……"
「寝ず食べず……か」
"はい。食べてもすぐに吐いてしまったり、寝てても1時間もしないうちに起きてしまったりで……"
僕じゃ、どうしようもないんです。……兄さんにとって、僕は弟、守るべき対象だから……
辛そうにつぶやくアルに、ロイは任せたまえと言うしかできなかった。
正直、あの子供が自分の言うことを素直に聞いてくれるとは思えないが、弟のアルよりも聞いてもらえる確率はある。
「中尉!すまないが、少し資料室に行く。少しの間、資料室を立ち入り禁止にしといてくれ」
「……構いませんが、どうかなさったのですか?」
「鋼のを寝かせてくる。仮眠室に連れて行った方がいいのだろうが、あの子供のことだ。素直に行くとは思えんからな」
「分かりました。しかし、ハボック少尉だけでも連れて行ってください」
「分かった。ハボック、行くぞ」
「イエッサー!」
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