鋼の短編
□ハイジャック?
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東方司令部まであと2駅ってとこでそれは起こった。
こっから司令部までの2駅間はそこそこ長い。
ただ、何もこんなとこでしなくても……と思う。
――ハイジャックなんて。
だが、起こってしまったものはしょうがない。
「兄さん、なんか……」
「いうな、弟よ。虚しくなるだけだ」
アルの言いたいことが分かったエドは、項垂れるようにその続きを遮った。
何というか、こう列車に乗るたびに起こされると、己のトラブルメーカー体質に恨みすら湧く。
「どうせ2駅で東方司令部だ。どうぜ大佐たちには犯行予告とか送られてるだろうし、待機してんだろ」
今回は手を出さずにゆっくりと見守ろうぜ。
……絶対に無理だ。
アルはそう思った。
エドの考えてることは分かる。
自分たちが動かなくても、大佐がたちが何とかするだろう。
けど、今までの経験上、この兄が何もしないなんてこと……口では言っていても、実際にそうなったことはない。
何もしない……なんて、実現したことないのだ。
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