鋼の短編
□大晦日
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「大将!!」
「わっ!?何!?」
シャワーを浴び終えて、司令室に戻ってきたエドワードに、ハボックたちが勢いよく詰め寄った。
シャワーを浴びたままなのか、髪は下ろされたままキレイな艶やきを放っていた。
「うっ……」
エドワードが女だと聞いたからか、それとも髪を下ろしてるからか、ハボックたちの目にはもう少女にしか映らない。
「どうかしたの?ハボック少尉」
「いや……大将……エドが女って本当か?」
「え?うん?」
聞かれたことが分からなくて可愛らしく首をかしげるエドワードに、ハボックたちはこれ以上は聞くだけ無駄だと思った。
今までなぜ分からなかったのだろうか。
どっからどう見てもエドワードは女性だった。
「まさか、年の終わりにビックリ事実を聞くとは……」
新しい煙草をくわえながらハボックは天井を仰いだ。
念のためと、アルフォンスに確認したが、むしろ知らなかったんですか?と険ある声で言われてしまった。
「そういや、大将はいつ旅立つんだ?」
「んー、とりあえず、当分いるかな?」
「そうなのか?」
「ん。5日には確実に旅に出るけどな」
珍しく長くいるというエドワードに、ハボックは意外そうな顔でエドワードを見た。
「だって……」
「せっかく恋人が近くにいるんだ。しかも年明けだぞ?私が離すけがないじゃないか」
「「は?」」
今、何とおっしゃいました……?
「誰が?誰の?」
「エドワードが、私の恋人だ」
「ちょ!?」
焦り顔のエドを見て、ああ……本当なんだ……と思わざるを得なかった。
というか……
「大佐、それ犯罪っしょ……」
14歳差の恋人
しかも相手は未成年
「アルは納得してるのか!?」
「まぁ……。でも兄さん……姉さんが幸せそうなんで……」
バラしたロイに怒っているエドワードだが、恥ずかしそうに頬が赤く染まっている。
ロイはロイでそんなエドワードが可愛いのか頬が緩みっぱなしだ。
「まぁ、確かに」
幸せそうな顔を浮かべる大佐に、ハボックは頷いた。
「さぁ、年越しそばを食べましょう」
「今年も色々あったが皆のおかげで無事一年を終わらすことができた」
――また来年もよろしく頼む
「今更っすね」
「そうですね」
一年の最後の日、大晦日に信じられない事実を知ったりもしたが、来年もこのメンバーで頑張っていけたらいいと思う。
「なぁ、今年もありがとな」
「……君からそんな言葉聞けるとは……」
「うるさい。……来年もよろしく、な?」
「安心しなさい。こんなかわいい恋人を手放すなんて私にはできないよ」
「かわいい言うな」
「ハハハ」
「もー……」
色々あったけど、来年も彼が一緒なら頑張れる気がする。
――ねぇ、ロイ。
来年も……よろしくね?
〔あとがき〕
今年もあと数分。除夜の鐘が聞こえます。
ああ、一年が終わるのだな・・と思います。
今年もありがとうございました!
End