『The rainbow of seven colors』 完結
□2.送別
2ページ/4ページ
* *
「「ええ────っ!?」」
──キーン
「どういう事!?優希、説明してっ!」
「優希、説明してくれるわね?」
『蘭、志保、落ち着いて………ね?何も本当に転校する訳じゃないし……。一応、話せることは話してあげるから』
「あら、当たり前でしょう?」
『………それは、どっちの当たり前かしら?』
本当に転校するわけじゃないということなのか。
それとも、話せることは話すということなのか。
「もちろん、両方に決まってるでしょう」
『……あー、そう』
「それとも、何も言わずに行くつもりだったのかしら?」
『志保………』
蘭と志保から責められ、優希は小さくなりながら、必死に対応する。
『………というわけなの』
「そうなんだ」
「………はぁ、分かったわ。但し、気をつけるのよ?工藤新一も、優希も知られてはないとはいえ、油断してはだめよ?」
『まぁ、敵地に乗り込むわけだからね………』
「「そういう問題じゃないんだけど……」」
一応話せるところ(江古田高校で不審な動きがあり、それを調べるために江古田に潜入捜査すること)は話した優希に
二人は心配な顔をするも全くその意味は優希には伝わらなかったようだ。
『大丈夫よ。できるだけ、土・日のどちらかはこっちに帰ってくるつもりだから。』
「帰ってくる?あなた、どこに住むつもりよ………?」
『江古田にある、私たち“絆”の別荘よ。当分、家は空けることになるけど、弥一たちがリビングは掃除してくれるって言ってるし、戻ってきた時に部屋は両方ともきれいにしたらいいしね』
「じゃ、じゃあ、学校はどうするの!?」
『すでに校長には言ってあるから大丈夫。1ヶ月に一回だけ、テストを受けて90点以上ならいいって』
「「〜〜〜〜〜、校長のバカ〜〜〜〜〜っ!!」」
二人は天井に向かって叫んだ。意味が分からず目を白黒させる優希。
「確実に優希を連れ戻せないじゃん!!」
「使えないわね。今度、人体実験の標的(ターゲット)にしようかしら」
物騒なことを言う志保に、優希は顔を引きつらせた。
怖い。そして、ご愁傷様。
その二つが瞬時に思い浮かんだのは、仕方ない事だと言えよう。
『えっと……だから、私は当分学校には行かないから……「「いつも来てないでしょう?」」……まぁ、そうなんだけど………』
二人から突っ込まれ、言葉を濁した。どう転んでも、優希の方が分が悪い。
『と、とりあえず、外で私に会っても、私を優希って呼んじゃダメ!分かってると思うけど、“新一”だからね?
……もちろん“私”の時は“優希”にしてくれないと困るけど………』
「ハァ……分かったわ」
「気をつけてね?」
『二人とも、ありがとう』
優希は物わかりのいい幼なじみに、精一杯の笑顔を向けた。
今の自分に出来ることは、元気な顔を見せること。そのくらいしかない。
「ふぅ……。それで、どれくらい掛かるの?」
『えーっと……分からないの。1ヶ月かもしれないし、1年かもしれない。潜入目的(の第1)をクリアしないことには、ね……』
困ったように眉を寄せる優希に、二人はやるせない気持ちで一杯だった。
自分たちは何もしてあげられない。そのことが二人に重くのしかかる。
「餞別に、何か道具を作るわ。例えば、麻酔銃の大量収納強力版や、盗聴器妨害ボタンとかね」
『うーん……。助かるかな。博士からは、幾つか貰ってるんだけど。流石に新一の姿で、ゴムやピン止めはちょっとね………』
「なら、私は生理用品とか、必要なものを届けるわ。流石に新一の姿での調達はダメでしょう?」
『そうね。宅急便で着払いで送ってくれると助かるわ。家に来るのは色々まずいから』
二人の気持ちに感謝しながら、話をまとめ上げ行く。
『形ばかりの転入は、1週間後月曜日。この1週間で荷物の移動を行うつもりなの。学校は、金曜日にだけ行くわ』
「「そう、待ってるわね」」
その一言で話は終わったのか、蘭と志保は帰った。
・
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ