『The rainbow of seven colors』 完結

□8.開始
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『やっぱり、これといってめぼしい情報はなかったな』


新一はため息を吐きそうになった。

現在いるのは江古田高校の屋上。新一以外、めずらしく誰もいない。


昼休みとあって、にぎやかな声が運動場やグランドから聞こえる。

半日掛けて得られた情報は、ほぼゼロに等しい。

今までも同じようなことはあったが、ここまで何も出てこないのは、おかしすぎる。



『やっぱり誰かが裏で手を引いてるな……』



しかも、相当大物が。



『面倒なことになりそうだな……』



ただ単に、予想が当たっていただけなのだが、新一はため息を吐くと、そのまま寝ころんだ。

目を閉じて浮かぶのは、心の許せる仲間兼親代わりたち。

彼らは、両親がロスにいる間、何かと気に掛けてくれた人たちだ(今もだが)。

そして、姉のように、母親のように接してきてくれる、志保と蘭。



『あー、会いてぇー』



二人とは、連絡は数回取ったが、捜査を始めた今、ヘタに連絡を取るのは躊躇われる。

何が起こるかまだ分からないのだ。


彼女らは、“彼ら”とは違うが、大切な人。

危険に晒すようなことはしたくない。



『愚痴ばっかり言っててもしゃーねー。地道に頑張るしか……』



新一は立ち上がり、空に向かって宣言するように言うと、振り返らず屋上から出た。






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