夢見心地

□始まりは突然
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episode.1


「悪いね、恨まないでよ」

閑静な街に、声が響き渡る。
周りには煌びやかな街灯が建ち並び、まるで一人の少女を照らすスポットライトの様だ。

ショットガンに新たな弾を入れ換えながら、ミルガルダ・ギルティは傍に倒れ込んでいる男を嘲笑う。
男は脳天から血を流し、ピクリとも動かない。

―今日のお勤め終了

ショットガンを仕舞い、独特の輝かしい金の目を細め、大きく伸びをする。彼女は…ミルガは今まで「シゴト」をしていた。それが良からぬ方向性のものだという事は馬鹿でも分かるだろう。
黒いコートにショットガン。鋭い金色の猫目は暗く、輝かしい…暗殺者の目。
艶のあるショートヘアーの髪を靡かせながら、呟く。
「早く帰って風呂入るかー…血でベタベタ」
不機嫌そうに眉を歪め、ぐるりと周りを見渡す。
どこを見ても死体。死体、死体、死体。

全て彼女がやったものだ。
ある者は首を撃ち抜かれ、またある者は心臓を一発で…
世の中も恐ろしいものである。
―たった一人の少女に、20人のマフィアが消された―
朝になればこんな報道が出回る事だろう。



「…随分汚れたモンだねー、この街も」
少女は笑う。
厭らしく口角を上げ、悲しそうな、それでいてとても滑稽なものを見るかのように。
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