短編
□教えてよ 《グレゴリー・バイオレット》
1ページ/1ページ
《教えてよ》
「僕の、傍に、いて」
緊張で上手く回らない舌を、震える手を抑えて、
僕は精一杯の〔告白〕とやらをした。
…んだと、思う。
実際恋なんてろくにしたことないし、この気持ちがなんなのか分からなかった。
「…バイオレット、熱でもあるのか?」
目の前の君は不思議そうに、僕の顔を覗き込む。
一瞬、あるんじゃないかなーとか思ったり。
…これまで女になんて一切興味が無かった。だから確かにこの状況は自分でもびっくりした。
(だけど…)
「バイオレット?」
気が付いたら、君は僕の下だった。
「可愛いなぁ…」
サラリと髪を鋤く。
水が滴るかのように、
ゆっくり、ゆっくり、
「綺麗」
キスを落とした。
「っ…」
(なんでそんな、切ない顔するの)
(嗚呼、分からないよ)
《教えてよ》
END