ねっけつ魔王は無口な勇者を嘲笑う

□まだ、いました……。
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うーん……体が重い…寝苦しい…耳元くすぐってぇし………あ?ああああああ!





俺は一気に目が覚めて目を開く。





至近距離には…………案の定いましたね、魔王さま。






「…………は、はぁぁ!?なんでいんのぉぉ!?夢だっただろこれ!?」




「……む……ぅ、るさい…」




魔王さま、拳で力なく俺を殴る。理不尽だろ………じゃない!



全部夢じゃなかったってことは、我は魔王だ!って出て来たのも、く、口でされたのも現実!?まじで!?




夢だ、朝には悪夢ですんだって結末じゃなかった………。









人間じゃない、魔族の王様は天蓋付きの豪華なベッドではなく1万円で買った木造すのこベッドですやすや寝ている。この似合わなさ。魔王だったら、豪華な部屋だろうな。こんな考えをしてることがもう現実逃避してる。




はぁ…………間違えない。現実だ。





放っておいても何も解決になんねえし、起こすか…。蹴って起こすか(キレるか?)優しく起こすか(キモい…)…てか、起こしたくねえ永遠に寝てろ。そうか、あのブラックホールもどきに送り返せばいいのか!



開いたままの引き出しを覗いて手を入れてみる……あぁ、閉じてる…。




「むーーー……ぉ、なか…すいたぁ……むぐむぐ……」








ピキッ……なんだこいつ……自己中心野郎がぁぁ!!なーにがお腹すいただぁ!?てめぇ、人の飲んでんだろがよ!こちとらてめぇのことでいっぱいいっぱいなのに呑気に寝言でお腹すいたってなんだよ!




ゴン!




「ぬがっ!?…ぃ、いたい…痛いぞ!」



「ふん、起きたなクソ野郎!出てけ!」




「我の寝ている時を狙うとは…不意打ちがうまいな!」



殴ってもキレることなく、むしろ目をキラキラさせて喜んでる。M的な意味じゃないと思うが。




「いいから、出てけ!」



「いやだ!」



「なんでだ!」



「勇者と決着がついておらん!」



「あーーはいはい。俺の負けでいいですよ!」



「ダメだ!」




「なんでだ!?決着なら今つけるから!だから終わったら出てけ!」



「いやだ!」



「なんでだよぉ!」



意味わからない。決着がついても出てかない!?どーゆことだ!?














「…………す、好きになってしまった」





頬を赤くしてぷいっと横を向く魔王…。



それをやっていいのは女の子だけだぞ?そう思うのは俺がこの状況を受け入れられてないということだ。というより、頭が真っ白。






数十秒後。












「はぁぁぁぁぁぁ!?」











一応、敵対の関係の俺たち。




まさか、魔王が俺に惚れるなんて。
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