小説

□お誘い
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ある日のメカクシ団のアジトでのこと

キドは夕食の支度をしている。
団長であるからゆえ、団員の世話や家事は自分の仕事だと思っているのだろう。
今日は4人分の夕食を作っている。4人というのはキド、マリー、セト、カノである。団員は4人だけと言う訳ではないんだが、アジトの住んでいるのは4人だけだ。

キドは料理する時はエプロンをつけ、髪を一つにまとめ上げている。つまりポニーテールにしている訳だ。

その姿を、キッチンの後ろにあるソファーから見てかわいいな…なんておもってる僕…カノはキドに話しかけた。

「ねー。キドー」

「なんだ?」

キドは振り向きもせず素っ気なく答えた。

「今日さぁー、セトとマリーがどこに行ったか知ってる?」

「あぁ 確か遊園地だろう?」

「そう。遊園地、セトとマリー最近いっつも2人で出掛けてるよね?」

「マリーが外に慣れるようにセトが色々連れて行ってやってるんじゃないか?」

僕から見ればあの2人は毎日デートしてるようにしか見えないんだけど…キドにはセトの優しさに見えていたらしい

「そうなのかなぁ?まぁそれはいいや。それでね僕も遊園地行きたいなーって思うんだ」

「そうか。行ってこいよ」

キドは心底どうでも良さそうに言った。

「それで明後日行こうと思うんだ、キドと」

「あぁ そうか行ってこ…い。
今、誰とって言った⁉︎」

「だから、キドと」

「キドって俺じゃないよな?」

「何言ってるの?キドはキドしかいないでしょ?」

キドが手を止めて振り返って言った。

「俺がいつ行くっていった?」

僕は笑顔で答えた。

「僕が決めた。行こうよキド!」

キドは盛大に溜息をついた

「勝手に決めるな。俺は行かないからな」

「えーいこーよ。キドーお願いだよー」

「行かないって言ってるだろう
どちらにしても俺は家事があるから行けない」

「大丈夫だよー。一日ぐらいセトが変わってくれるよー」

「行かない」

そう言うとキドは料理に戻ってしまった。

「キドーキドーいこーよ、いきたい。キドと一緒に行きたいー」

僕がしばらく駄々をこねていると
最初は無視していたキドがまた一つ溜息をついて

「あーもう。わかった、わかった。セトがその日に家事変わってくれたらな?」

「やったー」


しばらくしてマリーとセトが帰ってきた。

カノはセトに明後日のことをお願いしている。
キドは正直どうせ、セトもバイトがあるだろうから行かなくていいと思っていた。しかしすぐセトからの

「明後日?その日はちょうどバイトも休みなんで、いいっすよ」

という予想外の答えがかえってきたのであった。
そのうえマリーにまで

「キド、楽しんできてね。」

純粋な笑顔で言われて。

「あぁ」

と、苦笑いをかえすキドだった。

その時カノとセトはキドに気ずかれないように目くばせしあっていた。

この一連の流れがすべてカノとセトの作戦だったなんてキドは気ずくすべなどなくただ1人落胆するのであった。

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