夢ノ中

□少女の運命 *2話*
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一度、刃物をおろすと私の方に近づいてくる。
そういや、首元にあった刃物はそのままだった…。
私のカバンをぶんどり、両手首を片手で拘束され、引きずられるように連れて行かれた。
いくらあたりが暗いからと言って、近くに来たら顔くらいはわかるわけで…。

『…!!』

え…!嘘!?
この人って…薄桜鬼の沖田総司!?
ということは、さっき言ってたはじめは…斉藤一…。
どういうこと?これは夢?

『…あの、沖田さん』

「何?」

『私の頬を軽く抓ってくれませんか?』

「…は?」

『お願いします!』

私は拘束されてるから手が使えないし、斉藤さんにカバン渡してたから片手空いてるし。

「…」

『むっ…い、いひゃいいひゃい!』

「抓ってって言ったのは君でしょ?」

『かりゅくっへいっはのに!』

「ぷっ。マヌケ面(笑」

『はにゃしへ〜!!』

沖田さんはツボに入ったのか、声を殺して肩を揺らしている。
軽くって言ったのに思いっきり引っ張られた!!
すごく痛いんだけど!

『うぅ〜…』

でも、はっきりした。
抓られたとこ痛いし、夢ではない。
となると…。

『トリップ…』

「何か言った?」

『へ?い、いえ、何も…』

どうしよう…。
まさか自分がトリップするなんて思ってなかった…。
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