短・夢ノ中
□いつかまた会える日まで…
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一瞬の出来事だった。
『一…くん…?』
彼女に飛んできた銃弾は、彼を貫いた。
『な、んで…?一くん…起きて…?』
倒れた彼に近寄る。
『さっきの敵、倒したよ?もう…大丈夫だから…』
いくら話かけても何も答えない。
『いつもの優しい声…聞かせて?私の好きな声を…』
短くなった彼の髪を撫でる。
『…好き。ねぇ…好きだよ、一くん。どうして…目を開けてくれないの?』
優しく…優しく声をかける。
『一くん…返事してよ…。声…聞かせて?ねぇ…一く…!!』
そっと頬を包む。
あまりの冷たさに、息をのんだ。
『う、そだ…』
一度壊れたガラスは、元に戻らない。
『嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!ねぇ!起きてよ!!いつもみたいに名前呼んでよ!いつもみたいに仕事しろって言ってよ!!』
冷たくなった身体を叩く。
何度も何度も。
『私、ちゃんと仕事するから!一くんを困らせるようなことしないから!!』
「…巫桜ちゃ…」
『触るなっ!!』
「おい、巫桜…」
『嫌だ!一くんっ…!一くん!一くん!一くん!!』
溢れる涙を止められるのは…ただ一人。
目の前にいる彼だけなのに…。
そんな彼が、目の前にいるのに…。
止まらない、止められない。
『好きなの!愛してるの!!約束したのにっ!!娶ってくれるって言ったのに!!!夫婦になるって言ったじゃんか!!!!』
夢見ていた未来は…もう来ない。
『なんでっ…なんでなの…。なんで一くんなの!!』
「巫桜!いつまでも甘ったれてんじゃねぇ!!」
『うるさい!一くんの傍を離れるくらいなら私はここで死ぬっ…!!』
「っ!」