世界を君は救えるか×NARUTO

□世界を君は救えるか 番外編
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  愚人節

  世界を君が救えるか番外編。

  エイプリルフールに因んだ番外編。
  結界師×NARUTO連載。仲間になった暁登場。




「ま、まじでやるんだな?うん」

『まじでやる。だってこれうちの恒例なんだもん。』

「…でもオイラやっぱり旦那騙すのは怖いんだが…」

『大丈夫。此処に居る全員私以外多分サソリと角都怖がってるから。』



 そう話すのは間一族の屋敷の一室。
 今回集められたデイダラ、黒凪、翡葉、時音は本日4月1日エイプリルフールの嘘を発信する役目の4人だ。
 ターゲットは最近加入したばかりの暁の面々を主とした他の間一族の人間。
 恒例となっている時点で勘のいい者はすぐに気付くだろうが、どうにか嘘を貫いて行こうと言う方針だ。



「安易な嘘だからすぐに気付くだろうけど、問題は乗ってくれるか乗ってくれないか…。」

「…ま、頭領なら乗ってくれると思うがな。飛段は頭が弱いから信じるだろうし、やはり肝はサソリと角都だ。」

『…よし、信じさせるためにはやっぱりあれしかないって。デイダラ。』

「……分かった…」



 項垂れて行ったデイダラに他の3人が真剣な顔をして頷いた。
 それでは早速、"4月1日エイプリルフール作戦"の開始だ。






























『デイダラ、早く準備してよ。』

「ちょっと待てって。すぐ準備して…」

「何こそこそやってやがる」



 演技を初めてものの5秒。早速ターゲットが食い付いた。
 そんなサソリに顔色を変えず「何でもないよ。」と黒凪が笑顔を見せる。
 するとデイダラも「気にすんな旦那。うん。」と続けて言った。
 余所余所しい2人の態度にサソリが片眉を上げる。すると時音が姿を見せて行った。



「ちょっと、こっちも抜け道キープするの疲れ……、…あ」

「あ?」

「あ、ううん。サソリ居たんだね…」

「…俺が居て何か問題でもあるのか」



 う、ううん!そういう訳じゃないけど…。
 そう言って首を振った時音の演技は控えめに言っても素晴らしい。全く違和感など無かった。
 抜け道って言ったな。目を細めてそう言ったサソリに3人が一斉に目を逸らす。
 すると翡葉が角都と飛段とイタチを連れて姿を見せた。



「…見つけた。」

『あ゙、京…』

「何処かに出かける気だったのか?黒凪。」



 ぴきーん、と固まった空気にデイダラを覗く暁の面々が怪訝な顔をする。
 そんな翡葉と黒凪の間に入ったのはデイダラだ。
 彼は翡葉を見上げて平然と言い放った。



「なんだ?黒凪をオイラに取られたのがそんなに嫌なのかよ、うん」

「あ?ふざけた事言ってんじぇねえよ。毒ブチ込むぞ。」

「甲斐甲斐しく邪魔ばっかりしやがって…こっちこそテメェなんざ爆破してやりてえぐらいだ。うん。」

「テメェ…」



 あ!?お前等デキてんのか!?
 咄嗟にそう思ったのだろう、飛段が比較的大きな声でそう叫び、他の暁の面々が目を見張る。
 そして勢いよく向いた彼等の目に黒凪とデイダラが少し頬を赤く染めて顔を見合わせた。



「…こうなったら言うしかないわね…。実はデイダラと黒凪は今恋人同士なの。」

「恋人同士だァ!?」

「…へ?」

「え、…!」



 背後から聞こえた声に振り返った時音が息を飲む。
 そこにはきょとんとした正守が立っていた。
 そんな正守にきゅっと表情を元に戻し、時音が続ける。



「正守さん、黒凪とデイダラは付き合ってるんです。」

「…………」

『黙らないでよ正守…、結構恥ずかしいんだから…』

「……。」



 咄嗟に何も言えない正守の様子から余計に信憑性を感じたのだろう、サソリが唖然とデイダラを見た。
 デイダラも黒凪も内心では爆笑であったが、気力で抑え込んでいる。
 すると次に現れたのは限で、彼は急いでこの場所に辿り着いた様だった。



『あ、限…』

「さっきの話…」

『(え、待ってこの子今日の日付見てないの?)』



 ガッチガチに固まった表情で言った限にすぐさまそう理解し、黒凪がちらりと遠目に此方を見ている閃を見る。
 彼の笑いを堪えた顔に閃は嘘だと理解しているのだろうが、この場に集まっている面々はまだ気付いていない。
 …徐に正守が人差し指と中指を立て、限が右手を変化させ、サソリが指の関節を鳴らした。



「…やばくね?」

『やばいかも』



 小声で顔を近付けてそう言い合った2人に正守の表情に笑みが浮かんだ。
 それを見て黒凪が片手をあげて宣言する様に言う。



『嘘です!』



 嘘です。その言葉だけが部屋に響き、暫し沈黙が落ちる。
 そして時音が今日の日にちをぼそっと呟くとやっと正守の構えと限の変化が解かれた。
 しかしサソリだけは別で、ビキッと浮かべた青筋と共に殺気を漏らす。



「…お前等殺されてえのか…?」

「ほら!だから言っただろ、旦那に冗談は通じねえって!」

「あ?冗談なのか?」

「当たり前だ。今日の日付を見ろ…」



 平然とそんな会話を交わす不死コンビの横でイタチがため息を吐く。
 途端にサソリの顔を覗き込んで黒凪が笑った。



『なによ、そんなに焦んなくても良いでしょ。何怒ってんの。』

「……。(確かにそうだ。俺は何に怒ってる…?)」



 そう考え直し、サソリの殺気がすぐに静まった。
 そして歩き始めた正守がデイダラの側を通った時にぼそっと言う。
 …怖い者知らずだね。…と。
 その声にデイダラが固まっていると限が気まずそうに後頭部を掻いて黒凪をちらりと見てから背を丸めて歩いて行く。



『…あれ、なんか微妙な感じになったね』

「(だからオイラは嫌だったんだ…)」

「…くだらん」

「なあエイプリルフールってなんだ?」




 本当の被害者はお気に入り達かもしれない。


 (またお前エイプリルフールのネタに自分使ったろ…)
 (ん?うん。)
 (毎年4月1日にげっそりしてる頭領と限をお前知ってんのかよ…)


 2018.4/1
 
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