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□きっかけの恋のお題
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 あえて言うなら友愛?
 with ナツ・ドラグニル from FAIRY TAIL



 好きだよ、ナツ。
 この"好き"がどういう"好き"か分かってないのが本音だけど。
 これだけは胸を張って言えるんだ。



『ナツー!大好きよー!』

「おう!俺も好きだぜ!」



 そんな事を大声で言い合いながらがっはっはと笑う。
 それを遠目に見ているギルドのメンバー達は呆れた様に眉を下げた。
 男と女だとかそんな事を気にせず抱きしめあう2人。
 あの2人は昔からそうだ、何とも言えない程に仲が良い。



『今日は任務行くの?』

「ルーシィと隣町までな。」

『うえー、じゃあまた当分帰ってこないわけ?』

「すぐに終わらせて帰ってくるって!」



 ふうん、と不貞腐れた様に返した黒凪。
 それを見たナツは彼女を両手で持ち上げた。
 ひょいと持ち上げられた黒凪は「うわ、」と呟くとナツを見下ろす。
 ナツは黒凪を見上げてニッと笑うと口を開いた。



「ちょっとだけ待ってろって。な?」

『……はいはい。』

「よし。」



 黒凪をゆっくりと床に降ろしたナツ。
 その様子を遠目に見ていたグレイとルーシィ。
 ルーシィはグレイの腕を引き、耳を近づけた彼の耳元に口を寄せた。



「もう一回聞くけどあの2人って恋人じゃないんだよね?」

「あー…。まあ、な」

「…でもナツって黒凪の事好きだよね?」

「……多分。」



 多分じゃなくて絶対そうだと思うんだけど、とルーシィが眉を下げる。
 すると今度はグレイがなんでそう思うんだ?と訊き返した。
 ルーシィは腕に抱えていたハッピーをぎゅむ、と抱きしめると再びナツと黒凪を見る。
 ナツは黒凪の頭を撫で、微笑んでいた。



「だってナツってば、黒凪の前だとまるで人が変わったみたいになるし…」

「あい、確かにナツは黒凪の前だとちょっと頭良さそうだよね」

「あいつ等は昔からああなんだよ。ナツが泣き虫だった黒凪の面倒を見てたしな」

「…黒凪はどう思ってるんだろ、ナツの事」



 むむむとハッピーを更に抱きしめるルーシィ。
 流石に苦しそうにしているハッピーを見たグレイはルーシィの腕から助け出してやる。
 腕からハッピーを取られても尚ナツと黒凪を見るルーシィを見たグレイはため息を吐いた。
 そして彼女の背中をトンと押す。
 驚いた様に振り返ったルーシィを見たグレイはヒラヒラと片手を振った。



「そんなに気になるなら訊きに行けよ」

「えぇー…。……じゃあグレイも行こ!」

「は?ちょ、おい!」



 まだナツが…。と前方を見るグレイだったが、タイミングが良いのか悪いのか、ナツはミラの方へ歩いて行った。
 ルーシィは歩き出した黒凪を呼び止め、グレイと共に彼女の前で足を止める。
 黒凪は不思議気に首を傾げた。



「ちょっと聞きたい事があるの。良い?」

『え?うん…』

「え、っと…。うーんと、」

「なぁ、お前ナツの事どう思ってんの?」



 ド直球で訊いたグレイに絶句するルーシィ。
 ばっと黒凪を見れば、少し驚いていただけだった。
 よくある事なのかもしれない、周りの人間にナツとは恋人なのか、とか聞かれることが。
 眉を下げて笑った黒凪は「好きだよ」とこれまた真っ直ぐ答えた。
 するとナツが黒凪の元に戻り、なんだよお前等とルーシィとグレイを見る。



「ナ、ナツは黒凪の事どう思ってるの?」

「黒凪?好きだぜ」

「うーん、そうじゃなくて…」

「言い方変えたら?loveかlikeかとか」



 ハッピーの最もな言葉にそうね、と頷いたルーシィは2人に目を向けた。
 勿論2人にはハッピーの言葉が聞こえていた。
 思わず顔を見合わせる2人。
 黙ってしまった2人にルーシィもグレイも「お?」と微かに目を見開く。



「like、か?」

『え?うーん。そう、なのかなぁ』

「(ええええー!?此処まで来てそっちを選ぶの!?)」

「(こんの馬鹿2人…)」



 ナツの言葉にルーシィもグレイも頭を抱えた。
 何処まで鈍感なんだこの2人は。
 ルーシィが最後の足掻きだとでも言う様に「じゃ、じゃあ!」と声を上げた。
 ん?と同時に振り返る2人に一旦言葉を飲み込んだルーシィは意を決した様に口を開く。



「恋愛か、友愛か!」

『…敢えて選ぶなら友愛かなぁ』

「もう無理だよルーシィ…。」

「そうみたいね…。」



 流石のルーシィも諦めたらしく、とぼとぼと帰って行った。
 一方グレイは深い深いため息を吐く。
 そして徐にナツを見たグレイは微かに目を見開いた。
 普通の表情だが、何処かナツの表情には悲しみが混ざっている様な、そんな気がしたのだ。



「…ナツ?」

「んあ?」

「(やっぱり普通、か?)」

「………」



 何も言わず考え込んだグレイから目を逸らすナツ。
 ナツは徐に黒凪を見て胸元を抑えた。
 先程の黒凪の言葉にズキリとしたのは何故なのか。
 ナツは理解できなかった。
 その様子を見たグレイはやっぱり普通じゃねぇと勘付くとため息を吐く。




 気づけよ、馬鹿2人。


 ((早く気づけよ馬鹿!))
 (2人にジレンマを抱いているのは俺達だけじゃないらしいぜルーシィ)
 (ホントだ…。皆目が血走ってる)


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