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□小悪魔なきみに恋をする
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 わかっていたのに虜になった
 with 奈良シカマル from ナルト疾風伝



「………あ゙ー…。(うるせぇ)」



 聞かせてはいけない言葉は飲み込んで。
 でもやっぱりそうすると隣の声は「何?どしたの?」と反応してくる。
 俺の真意を知りもしないで、うるせぇ女。
 その言葉もしっかり飲み込んだ。



『何よ、そんなに日向ぼっこ嫌い?』

「…意味わかんね。お前日焼け嫌だっつってただろ」

『日焼け止めしてるから大丈夫。…良いじゃん、任務から帰って来たんだし』

「…俺疲れてんの。」



 疲れてない疲れてない。
 俺に言い聞かせる様に言った。
 めんどくせー…、といつもの癖が出る。
 黒凪は「久々の"めんどくせぇ"だ」となんだか嬉しそうに笑った。



『任務、砂との合同だったんだってね』

「まぁな」

『テマリさんと会えたワケ?』

「あ?テマリ?…そういや会ってねぇな」



 へぇ?と目を細めた黒凪。
 一瞬ゾクリとした。
 ああそうだ、コイツなんか知らねぇけどテマリに敵意抱いてんだった。
 理由を依然に聞いた時は「鈍い」と一喝された様な気がする。



「…何もねぇって。用心深すぎだろ」

『……アンタ意外とモテんのよ?』

「へいへい」

『あ、分かってない!』



 当たり前だ。何処に俺はモテてますって豪語する奴がいる?…いや、居るかもしれねぇけど。
 ワカッテマスヨーと適当に返して寝転がる。
 大体俺が他の女に目移りするとでも思って…。
 そこまで考えて視界が暗くなった事に気付き目線を上げる。



「…何?」

『アンタよく私みたいなのと付き合ってられんね』

「あー…、確かに」

『確かにって何よ』



 笑い交じりに言った。
 黒凪が良く使う言葉だ。
 どうせそう思ってないくせに「よく自分と付き合える」と俺に言うのだ。
 ったく、また俺が慰めるのかよ。
 そう考えて内心ため息を吐くのもいつものパターンで。



「俺にはお前だけだよ。…悲しいがな」

『は?悲しいって何よ』

「悲しいね」

『だから何が。』



 怖い女だって分かってた筈なのに俺がオチちまった所。
 …なんて口が裂けても言えない。
 目に見えて分かってるんだ。
 こいつは間違いなくウザい。それに煩い。
 家事は意外と出来るかもしれないがめんどくせえ事が苦手な俺には中々ハードな相手だろう。
 ……でも。



『え、1人でニヤニヤしないでくれる』

「へいへい。」

『へいは1回!』

「ハイは1回だろ」



 アンタの場合"へい"でしょー、と笑うコイツ。
 そうそう、この笑顔だ。
 この顔の所為でコロッとオチちまった。
 馬鹿だなあ俺。ホント間抜けだ。



「なぁ」

『ん?』

「なんでお前そんな元気でいられんだ?」

『シカマルが好きだから?』



 あそ。
 そうとだけ返して目を閉じた。
 ええー!?と騒ぎ出す黒凪。
 あーあ。うるせぇしめんどくせぇ。



「…ホント、なんでお前…」

『え?なんて?…おーい』

「何でもねぇ。お前も寝れば?」

『眠くないもん』



 マジでわからねぇ。
 お色気の術でも使われたか?
 じゃないと理解出来ない。なんでコイツなんだ。
 何かの罠か?こんな何考えてるか分からねェやつ危険なのに。
 …いや、"危険"は大げさか。



『…寝てないよね?眉間に皺寄ってるし』

「………」

『おーい。何か考えてんでしょ。ちょっとー?』



 煩い。眉を寄せて手を伸ばした。
 黒凪の胸ぐらを掴んで無理やり隣に寝かせる。
 そのまま黒凪に体を向けて黙らせる為に抱きしめた。
 目を見開いて固まった黒凪は大人しく縮こまる。



『アンタさ』

「…ん、」

『結構私の事好きでしょ』

「ハイハイ」



 やった、と遠のく意識の中で微かに聞こえた。
 本当にこの女の笑顔は全部計算なんじゃないか?
 …ま、それでも別に構わないか。
 そう考えられる自分は随分この女に毒されてしまったらしい。




 甘すぎる笑顔の罠で


 (簡単に惚れて)
 (任務を終えた後も良い様に呼び出されて従って。)
 (どれだけ好きなんだって話だ)


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