隙ありっ Short Stories

□隙ありっ 番外編
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『………。』

「な、お前毛利小五郎じゃ…、ぐあっ」

「うわぁ!?」



 無言でちゃっちゃと犯人全員を倒した沖矢。
 眼鏡をくいと上げた沖矢は黒凪に近づいた。
 黒凪は何も言わず視線を逸らし、沖矢の背後を見る。
 ため息を吐いた沖矢は背後に迫った犯人も殴り、気絶させた。



「……ガムテープ、剥がすぞ」

『…痛い痛い、』

「……。よし」

『〜っ、』



 縄を外し、少し赤くなった手首を掴んだ沖矢。
 大丈夫か?と問いながら黒凪の両手を包み込んだ。
 頷いた黒凪は沖矢に抱きつき深いため息を吐いた。
 何も言わず抱き着かれた沖矢は手を伸ばし足の縄も解いてやる。



『……あー…、怖かった…』

「柄にもない事を」

『何言ってるの、柄にもあるわよ』

「…そうですか。」



 沖矢の口調に戻って背中をぽんぽんと撫でる。
 眉を下げた沖矢は黒凪をそのまま抱きしめ、目を閉じた。
 するとたたた、と足音が聞こえ黒凪が顔を上げる。
 「遥さん!」と飛び込んできた蘭に笑顔を見せた黒凪。
 一方蘭は顔を真っ赤にして固まった。



「…あ、お邪魔、でした…?」

『あはは。ちょっとね』

「す、すみません!」

「いえいえ。そろそろ戻らないととは思ってましたし」



 黒凪を持ち上げて振り返った沖矢。
 戻りましょうか、と笑った沖矢に蘭も顔を真っ赤にして頷いた。
 車に戻ると気を効かせた小五郎が運転席へ。
 平次は既に自宅に帰ったらしい。
 ちなみにこの場所を突き止めたトリックはコナンが話し、とりあえず納得して帰ったそうだ。



「あの…、コナン君?」

「?」

「私も助手席乗っても良い…?」

「ああ、気を使って下さらなくても…」



 いえ!助手席乗ります!と助手席に乗った蘭。
 蘭の膝の上にコナンも乗り、少し振り返って渇いた笑みを溢した。
 後部座席に2人で乗った沖矢と黒凪。
 黒凪は疲れたのか沖矢に凭れ掛かって眠ってしまった。
 沖矢はそんな黒凪を見下して静かに微笑む。
 その様子に蘭は顔を少し赤くさせ、コナンを抱きしめた。




 稀に見ぬスピード解決


 (そんなに怖かったの?昴)
 (怖かったですよー…)
 (あはは。でもあたしは蘭ちゃんが危ない時のコナン君も結構怖いと思うけど?)
 (え?そうなんですか?)
 (今度ムービー撮ってあげよっか?)
 (是非!)

 (…黒凪さんのムービー注意っと)


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