隙ありっ Short Stories
□探偵作品関連
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未来予想図A
第七回アンケートの際に制作。
某ドラマ風のルーレットをしたお話。
安室透成り代わり×赤井秀一の夢主と赤井秀一より。
「今回の司会は江戸川コナンです。よろしくお願いします。」
『私と大の事を知ってるのは君だけだからまあ必然って感じだね。』
「秀一だ。」
『…秀一。』
ではこれより"組織を潰した後はどうなる?"ルーレットを始めます。
回るルーレットに様々な未来が書かれているので置いてあるダーツで選んでいってください。
ダーツで選んだ未来を推定して管理人…げふんげふん。…が2人の未来を予想して書き進めていきます。
『ちゃんと咳で誤魔化して偉い。』
「全くだ。」
では早速ルーレットを回すので、置いてあるダーツで…。
そこまで言ったコナンは言葉を止めガタッと立ち上がった。
あの、…一体何を。
そう問い掛けたコナンの視線の先には拳銃を片手に立つ2人。
『狙いたい的があったから。』
「右に同じく」
「ダーツで当ててね!?」
渋々と言った風に拳銃を置いてダーツに手を伸ばす。
先にどうぞ、と笑った赤井を横目に黒凪がダーツを構えた。
ぐるぐると回るルーレットに目を細め迷い無くダーツを放つ。
ダーツは真っ直ぐと進んで行きルーレットに突き刺さった。
『よし。狙い通り』
「えー…と、…"愛娘との日常"だね」
「…子供が欲しいのか」
無表情で問うた赤井に黒凪の顔がボンッと赤く染まる。
そんな黒凪に一瞬固まった赤井は徐に足を踏み出した。
それと同タイミングで後ずさる黒凪。
互いに固まっているとモニターに映像が映し出された。
「ぱぱぁ、…ままぁ」
『ごめんな、今日も保育園のお友達と仲良くするんだよ』
うるうると涙を浮かべる愛娘に手を振って保育園を出て行く。
駐車場に向かう最中、赤井が徐に口を開いた。
「今日の迎えは俺が行く」
『ありがと。今日は私もちょっと早く終わる予定。…予定だから変わる可能性あるけど』
君の場合は変わる方が多いからな。
眉を下げて言った赤井に黒凪も少し眉を下げた。
そうして前方に目を向けると「死ぬなよ」と彼の声が再び掛かり顔を上げる。
『何言ってんのさ。FBIに比べたら…』
「いや、…公安も随分と無茶な捜査をするようだからな」
『…。私の心配より自分の心配してろ、FBI。』
バシッと背中を叩いて車に乗り込んだ。
職場は勿論別々である為2人は別々の車である。
それでも愛娘を送り届けるのは2人で行くのが日課だ。
車が邪魔だったり二度手間だったりだが朝から夜まで預けている娘の事を思うとこうする他には無い。
『じゃ、迎えは頼んだから』
「あぁ。…頑張れ、黒凪」
『ん。秀一もな』
窓を開いて会話を交わした2人は真逆の方向に車を走らせる。
プツッと切れた映像を見上げていた赤井は徐に黒凪に目を向けた。
黒凪は赤井に目を向けようとしない。
「…黒凪」
『ルーレット!ルーレットが回ってる!』
「…。チッ」
微かに聞こえた舌打ちにコナンが渇いた笑みを浮かべる。
ドスッと突き刺さった場所に目を向けているとまたじりじりと赤井が黒凪に近付いていた。
黒凪も赤井に合わせて距離を取ったまま動いているとコナンが読み上げたものに思わず動きを止める。
「"結婚式"」
『テキトーに投げたんじゃないのか!?』
「俺が外すとでも?」
『……。』
絶句している黒凪。
またモニターが動きだした。
「兄さん、おめでとう。黒凪さんも」
『どうも、…羽田名人?』
「…言ってなかったか?」
『いや、聞いてないな。友達か?』
いや、弟だが。
赤井がそう言うと黒凪がピシッと固まった。
以前は一緒に事件を解決したりしましたよね。
笑って言った羽田にゆっくりと目を向ける。
「似てないでしょ?顔は」
『は、はい…』
「兄貴ー!」
「…真純」
あっちはそっくりなのに…。
呟いた黒凪に羽田が小さく笑った。
現れた世良のドレス姿は控えめに言っても似合っていない。
彼女自身もドレスを嫌がっていた事は赤井から聞いていた。
「やーっと話せた。さっきはFBIと公安の人達に囲まれてたから…」
「俺達は同僚が多いからな」
『ほとんどの人間が公安とFBIだなんて、どんなパーティだよって話だよな』
「…安室さん」
ん?と振り返った黒凪。
しかし世良はしまったと言う様に口を押えていた。
「悪い、…降谷さんだったよな」
『今日から赤井だよ。』
「あ。」
目を見開いて固まった世良に小さく笑った。
頭を掻いた世良の目がチラリと赤井に向けられる。
赤井も微笑んでいた。
「な、なんだよ2人してニヤニヤして!」
「いや、今のは面白かったんでな」
『再確認させてくれてありがとう。』
私は今日から赤井黒凪になる。
笑って言った黒凪に世良の頬が少し赤く染まった。
金色の短い髪、少し色の濃い肌。
そんな容姿の彼女にはウエディングドレスがとても似合っていて。
「…幸せそう、だな」
「くく、愚問だな」
『幸せだよ。…凄く。』
ニコッと笑った黒凪に赤井も小さく笑ってウイスキーを傾けた。
『幸せそうで何より…』
「何故逃げる」
『るっさい。』
ようやく先程の恥ずかしさからは脱却したのか黒凪が赤井に向かってダーツを投げた。
すぐさま顔を背けて避ける赤井。
その背後にあったルーレットはゆっくりと停止した。
「時間的には最後かな…、え゙」
『ん?…あ゙。』
「…黒凪…」
「"別離"。…どうする?見る?」
見ない。
2人の声が重なった。
しかし動き始めるモニター。
置いておいた拳銃をほぼ同時に掴み取りモニターを狙撃する。
黒凪は画面を、赤井はモニターを支えている軸を撃ち抜いた。
物凄い音を立てて落下したモニターにコナンが顔を青く染める。
『さて。さっさと仕事に戻らないと』
「今日はこれそうか?」
『多分無理だ。夕食はレトルトで良いんじゃないか』
少し振り返って言った黒凪がすたすたと歩いて行く。
肩を竦めた赤井も息を吐いて拳銃を仕舞い歩き出した。
コナンはそんな2人を交互に見て落下したモニターを振り返る。
「同じ所撃ったりしないんだ…」
「黒凪は短絡的な所があるからな。画面を撃ち抜くと思っただけだ」
「!」
長く一緒にいると勘で大体は予測出来る様になる。
笑って言った赤井に顔を上げる。
彼女もそうだと嬉しいんだが。
眉を下げて言った赤井にコナンが笑顔で口を開いた。
「多分そうだよ」
「ん?」
「…さっき、撃つ寸前に一瞬赤井さんを見てたんだ」
撃った後にはちょっと笑ってた。
そう言うと赤井が微かに目を見開いた。
仲良いんだね、本当に。
コナンの言葉に赤井はまた眉を下げ今度は嬉しそうに小さく微笑んだのだった。
似た者コンビ。
(…俺は息子が欲しいんだが)
(ぶっ)
(君は娘の方が良いらしいな?)
(…。女の子の方が可愛いだろ)
(男なら老後が安心だと思うんだが)
(老後の事考えてんのかよ…)
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