世界を君は救えるか×NARUTO

□世界を君は救えるか
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  風影奪還


「お前等、4人もオイラについて来て大丈夫なのか?うん」

【んな事より左腕をどうしたァ?】

「あ?」

【その腕がなきゃあ…戦力としては微妙な所だなァ…】



 ふむ…と顎に手を持って行って言った火黒にカカシが微かに眉を寄せる。
 しかしその隣に立っている時音がデイダラに目を向けたまま口を開いた。



「そんな事はどうでも良いわ。任務遂行。」

【っはー…。アンタ部下の鏡だなァ】

「火黒、援護を」

【へいへい】



 結!と時音の細い結界が鳥に突き刺さる。
 目を見開いたデイダラはすぐさま次の鳥を作りだし上空を進み始めた。
 それを見た火黒が時音を抱えて後を追う。
 我愛羅を返せ!とナルトもその後に続いた。



「(何だあの女…あんな術初めて見たぞ、うん)」

《ただ厄介だとは聞いている…》

「(厄介ってこの事かよ…!)」

「結!」



 うおっと、と回避しながら進む。
 そんなデイダラと時音達の後ろを走ってついて来るのはナルトとカカシ。
 カカシは耳元の無線を起動し共に任務に当たっていたガイに繋げた。



「ガイ、そっちはどうなってる」

≪っ、悪いがまだ時間が掛かる!≫

「…分かった。」



 無線を切り微かに眉を寄せる。
 ガイの様子から援護はまだ当分無理だろう。
 カカシの目が前を進む火黒と時音に向いた。
 火黒と共に現れたあの子…見た事の無い間一族の人間だ。
 デイダラに休みなく結界術で攻撃し続けている少女。
 見た所、ナルトやサクラと同年代。



【埒が明かねェなぁ…】

「…あの鳥、どうにかして落とせないかな」

【君が1人でこの足場を進み続けられるなら俺が行くけど?】

「…解った。行って、火黒」



 そう言った途端、デイダラから3匹の鳥の様なものが放たれた。
 チッと舌を打った火黒は時音を抱えたまま回避しようと足を踏み込むが、鳥達は彼等を通過してナルトに向かって行く。
 それを見た時音はすぐさまナルトの目の前に結界を作り爆発を受け止めた。



「ナルト、無事か!?」

「大丈夫だってばよ!」

「…。…ちょっと面倒ね。人柱力のあの子も護らなきゃいけないし、その上あの暁も…」

【…人柱力を先に排除するかァ?】



 火黒の冷たい目がナルトに向かう。
 その目を見たナルトは一瞬固まり眉を寄せた。
 その様子を少し離れているカカシも目撃する。



「(あの2人は一体何の為に此処に…援護じゃないのか?)」

「…。私は大丈夫だから、カカシさんの所に」

【あ?】

「多分あいつ、人柱力の子以外全員を排除しに来ると思う。」



 私は空身があるから大丈夫だけど、あの人は勿論攻撃を受けるだろうし。
 間一族が出動している時点で里の人間の被害は後々面倒になってくる。
 開祖に皺寄せが行かない様にあの人の援護に回って。
 冷静な判断を下した時音にニヤリと笑い彼女から離れてカカシの元へ向かって行く。
 デイダラはまずカカシを片付けようと大量のバッタ型の起爆粘土を落としていった。



【よォ、カカシ】

「火黒!?」

【お前の援護に回れって言われてなァ】



 起爆粘土が2人に向かって行った。
 そら来た。火黒の手に刀が現れ次々に起爆粘土を斬っていく。
 しかし小さな起爆粘土達は殆どがその攻撃を避けカカシと火黒の目の前で爆発した。
 ナルトが一瞬振り返るがギリ、と歯を噛み締めデイダラの後をついて行く。
 戦闘を始めた火黒とカカシに笑ったデイダラが次に時音に目を向け少し大きなカエルの様な起爆粘土を1体放った。
 起爆粘土は大きく口を開くと時音を飲み込み、ナルトがその横を通り過ぎる。



「喝ッ!」

「(空身!)」



 ドォン!と大きな爆発が起きデイダラはニヤリと笑ってナルトの前に降りてきた。
 ナルトは自分から近付いてきたデイダラに足を止め、上空に浮かぶデイダラを睨み付ける。



「よう、やっと2人きりになれたな。うん」

「我愛羅を返せ…!」

「それは無理な相談だが、顔ぐらいなら見せてやれるぜ」



 かぽ、と開いた鳥の口の中で我愛羅が倒れている。
 生気のない顔にナルトが更に顔つきを険しくした。
 テメェ!と拳を固めたナルトの肩をカカシが掴む。
 途端に時音がデイダラを結界で捕まえた。
 デイダラは生きているカカシや火黒、時音の姿にげんなりと眉を寄せる。



「チッ、生きてやがったか…うん」

「捕まえ…」

「喝ッ!」



 デイダラの爆発によって結界が破壊されまた鳥が上空に飛び上がる。
 眉を寄せた時音はすぐさま鳥の頭に結界を作りぐっと眉を寄せた。
 そして一気に結界を押し潰すと鳥の頭だけが滅せられ我愛羅の身体が落ちてくる。



「(よかった、上手く行った…)」

「我愛羅!」

「チッ!起爆粘土だけ潰すなんてありかよ、うん!」



 我愛羅の身体を受け止めたナルトとその側に着地したカカシ。
 取り戻そうと動いたデイダラの背後に火黒が一瞬で移動した。
 あんたはこっちだ。
 火黒のその一言と共に側の森に蹴り落とされたデイダラ。
 時音はすぐさまその後を追った。



「火黒!そいつ捕まえて!」

【言われなくとも】

「しつこいな…うん」



 走るデイダラを追いかける火黒。
 その背後から結界を何度か作っている時音だったが中々捕まえられない。
 眉を寄せた時音は眉を寄せるとデイダラの足首に結界を突き刺し動きを鈍らせる。
 その隙に火黒がデイダラを羽交い絞めにするが、一瞬で上空に放たれた起爆粘土に舌を打った。



「喝ッ!」

「結!」



 爆発した瞬間の起爆粘土を一瞬で結界で囲み、時音がすぐさま滅する。
 その様子を目を見開いて見ていたデイダラは目の前に移動した時音に目を向けた。
 時音は胸元から出した呪符をデイダラの胸元に張り付けると一気に呪符に呪力を籠めデイダラの身体にまじないを掛ける。
 まじないを掛けられたデイダラはチャクラを練る事が出来ない自分に眉を寄せた。



「捕獲完了。…黒凪ちゃん達は終わったかな」

【流石に終わってるだろォ。随分コイツと走り回ったぜ?】

「…そうね。」

「っ、オイラをどうするつもりだ、うん」



 私達の屋敷に連れて行くのよ。
 歩き出して言った時音にデイダラが更に眉を寄せる。
 彼からすれば風影の奪還または己の殺害が目的だと思っていたのだろう。
 怪訝な顔をしたデイダラにニヤリと笑う火黒。
 時音はそんな2人に目を向けず無線の電源を入れた。



 デイダラ捕獲。

 (お疲れ時音ちゃん)
 (俺には無いのかァ?)
 (はいはい、オツカレサマデス)
 (可愛くねーなァ君も。)


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