世界を君は救えるか×NARUTO

□世界を君は救えるか
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  星隠れの里


「……。」

『見つけた。』

「っ!?」



 じっと宝石の付いたネックレスを見ていたスマルのすぐ真横から声を掛けた。
 すると面白いぐらいに跳び上がって驚いたスマルに小さく笑う。
 すぐさま焦った様にネックレスを懐に戻し「な、何の用だ」とスマルが取り繕う様に返答を返した。



『暇だから君の所に来たんだよ。歳も近いし。』

「…ふん。どうせ星の情報でも聞き出しに来たんだろう」

『そんな事無いんだけどねぇ』

「信用出来ないな。他国の忍は皆星を狙ってる。」



 ふーん、星は本当にどうでも良いんだけどね。
 で?その大事な星をみすみす奪われた君はこんな所で何してんのさ。
 黒凪の言葉にスマルがむっと眉を寄せる。



「…別に。星を見ていただけだ」

『星ねえ…。…あの赤い星、凄く綺麗に見えるんだね。此処って。』

「…ナツヒボシ。いつも俺を見守ってくれている…」

『ん?』



 見守って…?
 振り返った黒凪は背を向けて歩きだしたスマルの背中を見て眉を下げる。
 彼の背中が何処か限と重なって見える。
 己の姉を傷付けた手をじっと1人で見下して、踏み込もうとすると背を丸めて離れて行く。



『ねえスマル。星の捜索は年上の2人に任せちゃって私暇なの。あんたの敵にやられた仲間の所とか行っても良い?』

「は?何故そんな所に行きたい」

『若い忍が居るんでしょ?って事は歳近いんじゃないの?』

「……」



 間一族って歳上ばっかりなの。歳が近い子と話したいのよ。
 首を傾げて言った黒凪に「此処を真っ直ぐ言った先の修行場の側に居る」と呟く様に言って去って行った。
 そんなスマルを見送り、前方を見てゆっくりと歩き始める。
 そうして見つけた巨大な穴とその中心にある建物に近付いて扉を軽くノックし、反応が無い事に首を傾げて扉を開いた。



『(…中に居るのは2人だけか。天井に1人、奥の布団の中に1人。)』



 真上から近付いてくるチャクラの塊に目を細めて天井に向けて結界を突き刺した。
 きゃあ!と声を上げて降ってきた少女を結界で受け止め、がばっと起き上がった奥の少年に笑みを見せる。
 少女は黒凪を睨むと孔雀妙法の印を結んでチャクラの塊を突き刺す様に向かわせた。
 それを結界で受け止め「ああちょっと待って」と両手を上げる。



『私は星の警護で此処に来た木ノ葉の間一族の一員よ。つまり仲間。』

「…え、仲間…?」

『あー…、額当てとかないけどこの家紋で分かる…?』



 背中を向けて正方形の家紋を見せる。
 それでも頭に?を浮かべる少女に困った様に笑うと奥の少年が黒凪をじっと見て口を開いた。
 多分悪い人じゃないと、思う。
 彼の言葉に少女もやっと警戒を解いた様だった。



「ご、ごめんなさい!全く感じた事の無い気配だったから…その…」

『チャクラを感じなかったとか?』

「…うん…。」

『あはは、それは驚くね。私チャクラを隠すの得意なの。』



 驚かせてごめん。
 眠っている少年の側に座ってそう声を掛けると少女は思い切り首を横に振った。
 そして彼女は「私はホクトって言うの」と呟く様に名前を明かし、側で眠っている少年の名前はミヅラであると教えてくれる。
 貴方は、と言った風な目が向けられ黒凪も口を開いた。



『私は間黒凪。…他の人は?』

「ああ、敵は私達を眠らせただけで怪我人は居なくて…。」

「ゲホッ、ゴホッ!」

『…そっちの子は無事そうに見えないけど?』



 ミヅラは星の修行を始めてから具合が悪くなってて、最近は殆ど寝たきりで…。
 そう言ったホクトに「駄目だよ、他国の人に星の話をしたら…っ」と少し顔色を変えてミヅラが言った。
 ミヅラの言葉に口元を抑え、謝りながら彼に水を呑ませるホクト。



『随分警戒心が強いよね。特にスマルなんて頭1つ飛び抜けてる』

「…スマルがああなったのには理由があるの。」

『?(お。)』

「あれは確か、10年前。」



 星を護っていたスマルの両親が、星を奪いに来た他国の忍に殺されたの。
 だから余計に他国の人を警戒してるっていうか…。
 言葉を濁して言ったホクトに「そう」と相槌を返して周りを見渡した。
 それにしてもこの2人以外の気配がない。



『…ねえ、他の人達は何処へ行ったの?この周辺じゃないでしょ?』

「それが…星を取り返そうってスマルと一緒に外に行っちゃって…」

『…えー…?』



 もう、これだから子供は嫌いなんだよね…。
 呆れた様に言って立ち上がった黒凪にホクトの「へ?」と言った素っ頓狂な声と怪訝な目が向けられる。
 そんな目を見返した黒凪はにっこりと笑うと扉を開いて外に出た。



『鋼夜、スマルの居場所分かる?』

【あぁ。臭いは覚えてる】



 鋼夜の背中に乗ってスマル達の後を追う。
 一方のサソリはアカホシと他2人の星隠れの忍との会話を盗聴していた。
 やはり敵はあいつか。あいつが相手なら敵わない。
 そんな風な会話をしている彼等に「やはりな」と目を細める。



「問題無い。奴の弱点は我等の手中にある」

「…あぁ、確かに。」

「ククク…すぐに引っ立てて…」

「まあ待て。…まずは邪魔なハエ共の目を逸らさんとなぁ」



 ピクリとサソリが片眉を上げた。
 ハエとは恐らく我々間一族の事だろう。
 フン、三下が…。俺等に敵うと思ってんのか。
 そう心の中で毒づいてその場に留まる。
 一方のデイダラの方は受信した黒凪からの無線に耳元に意識を向けた。



≪デイダラ、あの毒ガスが充満してる谷あったでしょ?あそこ辺りに向かってくれない?≫

「今丁度その辺りだ。つっても妙なもんは…、ん?」

≪あ、居た?スマルと他の子供達が敵を追ってそっちに行ってるみたいでさ≫

「あー…。そのガキ共、敵に一発で眠らされたみてーだぞ。うん」



 とりあえず軽く奇襲は掛けとく。
 そう言ったデイダラとの無線を切って谷に向かって急ぐ。
 そうして谷に着くとデイダラの起爆粘土を孔雀妙法で受け流す形で1人の忍がスマルを片手に走り回っていた。



『(スマルを抱えてる?)』

「喝ッ!」

「チッ…!」



 忍がデイダラの爆風に紛れて谷へ落ちて行く。
 そしてすぐさまチャクラで翼を作って飛んで行った。
 黒凪がデイダラに向かって念糸を飛ばし引き寄せてデイダラの鳥に飛び乗る。
 そして忍を追うが、それに気付いた忍が毒に紛れる様に高度を下げて行き濃度の高いガスに紛れて見えなくなった。



「逃げられると思うなよ…うん」



 小型の起爆粘土を落として爆発させ、その爆風でガスを散らせる。
 再び見えたスマルと忍に黒凪が構えた。
 舌を打った忍は上空を飛ぶデイダラと黒凪に目を向ける。
 すると里の方向からクナイや手裏剣が2人に向かって投げられ、デイダラと黒凪がその攻撃をしゃがんで避けた。
 振り返っても忍の姿は森に隠れて見えない。



「チッ、サソリの旦那は何してんだ…!」

『なんか妙に邪魔が入るなぁ…。』



 続けざまに放たれた武器を避け、再び谷の方を見れば既に忍はガスに紛れて何処かへ消えていた。
 舌を打った2人は高度を落として倒れている若い忍達の元へ向かう。
 そうして鳥に眠っている全員を乗せているとヒルコに入ったままのサソリが姿を見せた。



『あれ?サソリだ』

「ん?」

「…尾行に邪魔が入ってな…」



 不機嫌に言ったサソリも鳥に乗せ、星を祀っていた場所へ向かう。
 そうしてホクトやミヅラの元へ戻ると倒れている忍達を布団に寝かせていく。
 その様子を少し離れた位置で見ていたサソリは具合が悪い様子で起き上がったミヅラに目を向けた。



「……。おい黒凪…」

『ん?』

「あのガキ…もうすぐ死ぬぞ…」



 仲間を寝かせていたホクトの手が止まった。
 …星の、所為なんです。
 震えたホクトの声に黒凪達が振り返った。
 ミヅラはふらふらになりながら外に出て行く。



「星の力はチャクラを増幅する力を持っています。でも多くの忍はチャクラをコントロール出来ずに体を壊して、悪ければ死に至る」

『…ふーん。それを皆喜んでやってると。』

「里の為に強くなって、この里を盛り上げる事が出来れば私達はそれで本望なんです!」



 声を荒げたホクトに「そう」と興味が無い様に返して忍達を寝かせていく。
 ホクトはぐっと拳を握り、顔を伏せた。
 そうして全員を寝かせ、3人で外に出て行き地面に座る。



「どうも引っかかる…何か裏があるな…」

『そうねえ。スマルを連れ去ってまだ動きは無いし、空から監視してるのが1番得策かも』

「だったらさっさと行くか、うん」



 再びデイダラの鳥に乗って上空に飛び立ち里を監視する。
 すると毒ガスの谷の方でアカホシらしき人影が見えた。
 上空に留まって様子を見ていると日が昇ると同時にガスマスクを付けた忍が孔雀妙法の翼で飛行し谷の向こう側に降り立つ。



『あー、閃が居れば会話が聞こえるのにな…』

「…大した忍だ…。傀儡に欲しい」

『確かにアカホシじゃあ敵わないぐらいの忍だねえ』

「……。さっきから星隠れの奴等がオイラ達の事を探してるみてーだぞ、うん」



 デイダラの言葉に下を見下せば周りを見渡しながら走り回っている忍が2人見える。
 それを見たサソリは「アカホシの側にずっと仕えてた忍共だ」とボソッと呟いた。
 間一族を探すアカホシの部下、何故か星を奪ったにも関わらず再び戻ってきた敵。
 そしてその敵と待ち伏せていたかのように戦闘を開始するアカホシ。



『敵が戻ってきた理由が怪しいね』

「…あいつが戻って来る事を勘付いてたアカホシもな…」

『…。もしかして敵の弱点か何かがスマルで、アカホシはスマルを使って誘き出したとか?無理やり過ぎ?』

「……だったらそのスマルってガキを探すまでだ…」



 黒凪が影に目を向け鋼夜が姿を見せる。
 毒ガスの臭いがきつくて追い辛いが、今なら大体の場所は特定できる。
 そう言った鋼夜の背に乗りデイダラの鳥から黒凪が降りて行った。
 それを見送ったサソリとデイダラは敵の忍に迫られるアカホシを見て舌を打つ。



「クライアントを殺されるわけにはいかねェからな…」

「助太刀するか、うん」



 鳥を一気に急降下させてデイダラが起爆粘土を放つ。
 はっと顔を上げた敵の忍は孔雀妙法でそれらを弾き爆風で巻き上がった砂埃で塞がれた視界に舌を打った。
 そして砂埃の中で警戒した様に周りを睨むと途端に正面の砂埃の中から無数の毒針が迫り回避して行く。
 回避した末に地面に着地するとその足元に起爆粘土をデイダラが仕込んでいた為、ずるっと足が地面に沈んだ。



「喝ッ!」

「くっ…」



 爆発力は最小にしてあった為、敵の足が吹き飛ぶ事は無かった。
 しかし数を多めにした為ガスマスクを吹き飛ばし本人も気を失って転がって行く。
 そのまま谷に落ちかかった女をヒルコの尾で受け止めた。



「(くそ、間一族め…何故ナツヒを助けた…!)孔雀妙法!」

「!…旦那」

「あぁ…。俺達に喧嘩売ろうってんなら仕方ねェ…」



 ニヤリと笑ってサソリを攻撃しようとしたアカホシにデイダラが大量の起爆粘土達を放り投げる。
 その起爆粘土達にアカホシが対応している間に鳥の上に女と共にサソリが飛び乗り上空に飛び上がった。
 気を失っている女をチラリと見下すとはっと目を覚ました女がクナイを構えてデイダラとサソリを睨む。
 するとデイダラの無線が着信を知らせ、デイダラが電源を入れた。


 
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