学園ヘヴン BL小説
□一緒に…
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啓太side
夏のある夜、英語の宿題でどうしても解らないところを教えてもらうため、七条さんの部屋にいた。
俺は七条さんの勉強机の椅子に座り、そのそばに七条さんが立って、俺の宿題を見てくれている。
「う〜ん……。こう、かな?」
「はい、当たりです」
七条さんの説明は先生の説明より解りやすい。
俺がどこが解っていないかを見極め、その部分をゆっくりと教えてくれる。
そして、一度で理解出来なければ、言葉を替えて、何度も根気よく教えてくれる。
発音も綺麗で、つい聞き入ってしまう。
結局、30分もしないうちに解らなかったところをすべて理解することが出来た。
「やっぱり七条さんに聞いてよかった。すっごくよく解りました!」
七条さんは嬉しそうに笑った。
笑った七条さんは、カッコいいというより可愛い気がする。
「それはなにより。僕でよければ、いつでも頼ってくださいね」
「なんか俺、七条さんに甘えてばかりですね」
「僕は伊藤くんを甘やかすのが好きなので、気にしないでください。それに、僕も伊藤くんに甘えていますから」
七条さんは優しい。
けれど、甘えてばかりじゃダメだと思うことがある。
「さて、伊藤くん。お風呂に入るには少し早い時間ですから、少しお話しませんか?」
時計を見ると、まだ8時前だった。
「はい、いいですよ」
宿題のノートと教科書をカバンにしまう。
そして、いつものようにベッドの上に座る。
「伊藤くん、何か飲みますか? 麦茶と紅茶と柑橘系の炭酸飲料がありますけど?」
「あっ、すみません。じゃあ、麦茶を」
「はい」
そう言うと七条さんは部屋に備え付けてある小さめの冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルと炭酸飲料を取り出し、ベッドの方に来た。
そして麦茶の入ったペットボトルを俺に渡してくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
七条さんは俺に後ろから抱きつくように座る。
背中に伝わる七条の熱が心地いいくらいに熱い。