学園ヘヴン BL小説

□サプライズ
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伊藤啓太視点



バレンタイン当日の夕方、俺は学校の宿題を片付けていた。
9時に和希が部屋を訪ねてくるので、その時、ゆっくり話をしたいからだ。

「終わったー!」

背伸びを一つして、ノートと教科書をカバンにしまい、机の上を片付け始めた。
すると、お腹がグゥと鳴った。
時計を見ると6時を少し過ぎていて、外はすでに真っ暗になっていた。

お腹減ったなー。
いつもより少し早いけど、食堂へ行こう。
そうだ、和希を誘ってみよ。

和希を誘って夕食を食べに行くため部屋を出ようとした時、ドアをノックする音がした。

「啓太、いる?」

ドアをノックしたのは和希だった。

「和希!?」

約束の時間じゃないけど、どうしたんだろう?

まさかもう来てしまったのかと少し心配になり、急いでドアを開ける。

「何? 和希」
「夕食、一緒に行こうぜ?」

あっ、同じこと考えてたんだ。

恋人も同じことを考えていたのが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。

「うんっ」

部屋の電気と暖房を切り、カギをかけた。

「お待たせ」

いつもは周りの目を気にして、ほとんど自分から手を繋ぐことはないが、嬉しくてつい、俺は和希の手を取って歩きだした。

「どーしたんだよ、珍しい」
「何でもないよ」
「ま、俺的には嬉しいからいいけど」
「あっ、俺の部屋に来た時、食べて欲しいものあるんだけど」
「わかった。じゃあ、夕飯は少なめにしとくよ」

食堂につくと、さすがに沢山の生徒がいたので、繋いでいた手をそっと離した。
和希はは少し残念そうな顔をしたが、直ぐにいつものように笑った。

「まぁいっか。啓太から手を繋いでくれただけでも……。それで、何で今日は手、繋いでくれたんだ?」
「それは……内緒!」
「教えろよー」
「恥ずかしいからだーめ!」
「何だそれ」

俺たちはクスクスと笑いあった。
凄く幸せだ。
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