小説
□孤独の決意
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星に還る、つまりもう生きてはいないということだ。
ゴンガガの彼の両親も何年も帰って来ていないと言っていた。きっとそういうことなのだろう。
「それで?ティファはザックスとどこで出会ったの?」
エアリスはさも気にしていないという風な表情でティファに問いかけた。沈黙が二人を包む。前の方ではシドからバレットへクラウドが受け渡されている。
言いたくないなら大丈夫だとエアリスがその場を収めようとしたときティファが声を出した。
「あのね、エアリス」
エアリスが黙って頷く。後ろの方でユフィがレッドXVをからかう声が聞こえてくる。
「すごく、長い話になるの。今までみんなに黙ってたんだけど……。口にしたら、不安が現実になりそうで。でも、エアリスに聞いて欲しい。エアリスなら助けになってくれると思うの。落ち着いたら、ゆっくり聞いて欲しい。いいかな?」
「大事な話、なんだね。わかった」
エアリスがにこりと微笑んだ。
そのとき、銃声が響いた。気付けばモンスター数匹に取り囲まれている。銃声の主はもちろんヴィンセントだ。ゴンガガの周りはジャングルのような鬱蒼とした森が広がっている。モンスターが隠れていたのに気付けなかったようだ。
待ってましたとばかりにユフィとレッドXVが真っ先にモンスターたちに飛びかかった。クラウドを背負っていて戦えないバレットの傍に遠距離攻撃ができるヴィンセントが立ち、向かってくるモンスターを迎え撃つ。魔法が得意なエアリスも自己判断でバレットの守備にあたった。
ユフィとレッドXVが取り逃がしたモンスターをティファとシドが倒し、ケット・シーがいざというときのために後方で新手が来ないか見張る。
クラウドという攻撃の要がいないのはとても大きかったがそれでも仲間たちはモンスターの群れを一掃した。
「これだけ大人数で移動してると、やっぱり目立つのかな、オイラたち」
レッドXVが独り言のように呟いた。確かに普段は三人ずつで分かれて行動しているが今は全員でゾロゾロと森を歩いている状況だ。モンスターたちの気に障ってもおかしくない。
「まあ仕方ねえぜ!全部蹴散らしちまえば問題ねえ!さっさと進むぞ!」
バレットが一喝し、再び一行は歩き出した。先ほどまで話し込んでいたティファとエアリスや、ふざけあっていたユフィとレッドXVも静かになり、全員が周りの気配に注意しながら進む。
その後も何度かモンスターの群れが襲ってきたが、前衛中衛後衛を入れ替えつつ体力の負担が誰かに偏らないように戦った。ゴンガガが見えたのは既に日が暮れかけた夕方遅くだった。