小説

□孤独の決意
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ゴンガガの入り口近くにいた村人に病院の有無と宿の場所を聞くと、小さな村なので医者はいないと言われた。とりあえず言われた場所へ宿を探しに行くと小さな民宿が見つかった。10人泊まれるか泊まれないかというくらいの大きさだ。

一行が中に入り、ティファが事情を説明すると宿の主人は快く迎え入れてくれた。寂れた村なので滅多に客は来ない、好きなだけいるといい、と。
とりあえずクラウドをベッドに寝かせ、夕食をとりながら今後のことを話し合うことになった。

「今後のこと、っつってもなぁ、俺様は何がなんだかサッパリだぜ」

シドがパンを頬張りながら口火を切った。全員が疲れた顔をしている。

「クラウドが元に戻るまではここを拠点にした方が良さそうだな。黒マテリアを取り返さねばならんだろう」

ヴィンセントの言葉に全員が頷いた。そして、そんなことは全員わかっているはずだった。しかし、どうすればいいのか誰も見当もつかない。

「セフィロス…、どこに行きやがった……」

バレットが苛々しながらテーブルを叩いた。隣のユフィが不満そうに眉をひそめる。
場の空気は沈むところまで沈みきっていた。バレットのその言葉を最後にあとは全員が夕食を食べる食器の音や咀嚼する音だけが淡々と響いている。
「あんまり、落ち込んでも仕方ない、ね?」

全員が食べ終わる頃、エアリスが口を開いた。暗い雰囲気に耐え切れなくなっていたユフィとシドが真っ先に頷いた。言葉を発したエアリスの顔を全員が見ると、優しく微笑んでいる。

「クラウド、強いもの。絶対、目、覚めるよ。黒マテリア、みんなで探そう。セフィロス追いかけよ、ね?」

無責任かな、とエアリスは言葉を発しながら考えていた。クラウドは本当に強いのだろうか。戦闘能力が高いことが強さならばなるほど強いかもしれない。しかし、何があっても心が折れない精神力を持っていることが強さとするならば?彼は強いと言えるだろうか?そして黒マテリアは見つかるのだろうか。セフィロスの行方なんて分かるのだろうか。無責任にこんなことを言って、みんなが安心するのだろうか。そして、エアリスがまだ誰にも言ってないことが一つある。それは、黒魔法メテオに対して作られた白魔法ホーリーのこと。きっとこれを使えばもしセフィロスがメテオを発動させても星を救えるはずだ。しかし、自分にもよく使い方が分からない。自分ならば発動できるということしかエアリスにはわからない。このことを仲間に伝えるべきか否か迷っていた。時は一刻を争う。セフィロスを探して倒した方が早いかもしれない。使えるか分からないホーリーのために仲間を動かす訳にはいかないと考えていた。

「エアリスの……、言う通りね」

エアリスが思案を巡らせているとティファが口を開いた。

「考えましょう。具体的に。落ち込む時間もイライラする時間も残ってないもの」

そのティファの言葉を皮切りに全員が気持ちを切り替えた。きちんと話し合いが始まり、今後の方針と、具体的にどうするのかを全員で話し合った。話し合いの結果、いつ目覚めるかわからないクラウドはティファとバレットが交代で側にいること、他の全員は何組かに分かれてセフィロスの行方を探すことが決まった。
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