小説

□My alone
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いつの間にか、すっかり配達員になったティファは毎日のようにミッドガルやスラムをあちこち歩き回った。もちろんモンスターに襲われることもあり怪我は増えたがその分強くなった。

そして配達を終えると7番街スラムを訪れ、ジョニーと話して帰る、それがティファの日常だった。ジョニー以外にもこの街には何人か顔見知りができていた。

「もうすぐ、完成するらしいぜ、あそこ」

ジョニーは建設中の建物を指差して言った。それはどうやら酒場になるらしかった。ティファはぼんやりとその建物を見つめた。何か物足りない気がしてならない。

「あっ」

「何だ?」

「看板、看板がないわ。何て名前のお店になるのかな」

ティファは感じた物足りなさの正体に納得した。雰囲気から居酒屋かバーだろうとは予想できたが肝心の看板がないのでは仕方ない。

「7番街の楽園、名付けてセブンスヘブンだ」

急に後ろから声をかけられた。振り向くとそこにいたのは中年の男性だった。
「ジョニー、久しぶりだなあ。いつの間にこんなに可愛い彼女できたんだよ」

男性は笑いながらジョニーの肩を叩いた。

「ち、ちげえよ!友達だ!あ、ティファ、紹介するよ。このオッサン、あそこの店の店主兼大工」

叩かれた手を払いながらジョニーは説明した。ティファはぺこんと頭を下げる。

「ほっほー。友達ねえ。まあよろしく。ってことはまだ未成年か。店にはジュースも置くから気が向いたら来てよ」

「ありがとうございます。いい店名ですね」

ティファが言うと店主は嬉しそうににこっと笑った。

七番街の楽園、その言葉にティファはときめきに近い何かを感じた。素直に素敵だと思った。その旨を伝えようとしたがティファより先にジョニーが口を開いた。

「おぉ!オッサンにしてはいいネーミングセンスだな!」

「俺にしてはってどういう意味だよ。いや、まあでもあれだ、決めたのは俺じゃなくてさ、昨日ばったり会ったソルジャーに決めてもらったんだ」

彼は若くて陽気なソルジャーに何気なく店名の相談をしたところ、セブンスヘブンと言われ、気に入ったので採用した、とのことだった。

「ツンツン頭の面白い奴だったぜ。地下に反神羅組織のアジトを作るって言ったらさすがに呆れられたけどな!」

「いや、神羅の奴に言ったらまずいだろ…。下手したら連行されてたぞそれ。ん……、ティファ?どうかしたか?」
ティファは希望に近い何かを感じた。楽園、反神羅、アジト、それぞれの言葉に光が見えた。

「あの!」

頭で考えるより先に口が動いた。
暗いミッドガルのその下にあるこのスラム街で、ティファは確かに生きる希望を見つけた気がした。

「そこで、私……働きたいです!」

その言葉を聞いてジョニーと次期店主はポカンと口を開けたまま固まった。

家族も故郷も友人も、今までの人生の全てを失ったティファにとって残されたものは神羅への憎しみだけだった。

反神羅組織、どんなことをするのかは分からない。神羅が支配するこのミッドガルの下で何故歯向かっていくのかも分からない。

それでもティファは飛び込みたかった。

「私も反神羅組織に入れてください!」
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