俺だけになぜ、災難がつづくのか
□プロローグ
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「俺はなぜ、こんなところに」
篠崎玲央は、物々しいずっしりとそびえ立つ門を見上げる。
災難の始まりは、1ヶ月前。
もうすぐ中学もあと少しで卒業というときだった。
俺は当然、地元の公立高校に行くもんだと思っていた。
しかし、、、
「ただいま」
玲央は、いつものようにダチの深沢了と遊んで家に帰って来た。
「あー、おかえり。レオ」
玲央の母・静香が声を掛ける。
「静香さん、締め切り大丈夫!?」
玲央は、いつも帰りを出迎えない母が上機嫌に出迎えたのに驚く。
玲央の母は、作家だ。
それも、、、BLの。
しかも、結構、人気があるらしく、過去にはアニメ化映画化した作品もあり、今のところ向かうところ敵なしというほどらしい。
「そんなことより、帰るの待ってたのよー」
静香が微笑みながら言う。
その笑みは、さながら女神のようだ。
しかし、長年いっしょにいる息子には、、、
「また、俺で何かしようとしてる?」
静香は、たびたび玲央をネタに使う、、、もちろんBLの。
その前に静香は、いつもこのように美しくほほえむのだ。
「それはねー」
玲央の瞳には、母の微笑みは悪魔の微笑みに映っていた。